全然違う

藤村 「は? 何を言ってるんだよ? ガラモンとピグモンは全然違うでしょ。そもそも大きさが違う」


吉川 「あ、そうなの? でも見た目は一緒じゃない?」


藤村 「あのな、ガラモンは宇宙人が作った巨大なロボットだし、ピグモンは人間と同じくらいの大きさだしめちゃくちゃ良いやつだから!」


吉川 「へえ、よくわからないけど」


藤村 「わかるでしょ! 大きさが違うのはバカでも一目見りゃわかるでしょ!」


吉川 「大きさって言われても、実際にいないし」


藤村 「可愛げが違うじゃん! 醸し出す可愛げがさ! ピグモンのなんか献身的なところ胸が打たれるじゃん!」


吉川 「話は知らないから。じゃあなんで似てるの?」


藤村 「なんで? なんでって、別に理由はないよ。たまたま似てるだけ」


吉川 「たまたま!? どっちかがどっちかを模してとかじゃないの?」


藤村 「たまたま。他人の空似」


吉川 「結局、着ぐるみを使いまわしたっていう製作側の事情でしょ?」


藤村 「何のこと言ってるのか全くわからない」


吉川 「わからなくないだろ! 全部作りもんなんだから。作り話なんだから」


藤村 「急に何にもわからない」


吉川 「急に!? お前のそのファンタジーを守ろうという姿勢は称賛に値するけども! そこをちゃんと踏まえておかないと違うとか似てるとかの話もフニャフニャになっちゃわないか?」


藤村 「そんなことないよ。おすピーだって全然違うなってみんな把握してるわけだろ?」


吉川 「なに、おすピーって?」


藤村 「おすぎとピーコの杉浦兄弟だよ!」


吉川 「おすピーっていうの? なんだよ、その全国民がご存知のみたいな体でいうの。なんか聞いたことあるなくらいのあやふやな存在だよ! そんな愛称みたいので呼んでるやつがいることに驚いたよ」


藤村 「全然違うだろ?」


吉川 「よく知らないから全然違うのか同じなのかもわからない。どういう存在なの?」


藤村 「双子の! おすぎは映画評論家でピーコはファッション評論家の!」


吉川 「聞いても、ふぅん意外の感想がない! そりゃ、双子に対して一緒だろとは言わないけど、そんなに違うと思って見てる人いないだろ」


藤村 「全然違うのに! そこを混同するようなやつ絶交だよ!」


吉川 「そこまで!? おすピーに対する思い入れの強度が高すぎない?」


藤村 「だって全然違うだろ! そうめんとひやむぎくらい違うよ!」


吉川 「う~ん……。ゴメン、違いがあんまりわからない」


藤村 「お前な! ふざけんなよ! 俺だって違いはよくわからないけど、お前が知ってるだろうなと思って例に出したのに!」


吉川 「わからないことを一か八かで例に出さないでくれる? 話がブレる」


藤村 「全然違うんだよ! リンスとコンディショナーとトリートメントくらい違うんだよ!」


吉川 「なんかそれ聞いたことあるような気がするけど、聞いたという記憶だけ残って内容は覚えてないな。用途がどうも違った気がするんだけど」


藤村 「そのくらい違うってことだよ!」


吉川 「そのくらいの距離をお前がわかってないだろ! お前はちゃんとわかってつかってるのかよ!?」


藤村 「俺は椿油つけてるから」


吉川 「しゃらくせえ! ピグモンとガラモンだってどうせ一緒だろ!」


藤村 「全然違うよ! 大きさだけじゃない、ガラモンは頭の髪に相当する部分が角張ってゴワゴワっぽいけど、ピグモンは丸みを帯びてフワフワっぽいんだよ!」


吉川 「そんな微妙な違い普通わかるか?」


藤村 「ガラモンはリンスのみだけど、ピグモンはトリートメントとコンディショナーつけてるって覚えろよ!」


吉川 「全部違いがわからない!」



暗転

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