悪魔

悪魔 「そう、人間からは俗に悪魔と呼ばれている」


吉川 「あ、悪魔!?」


悪魔 「お前の欲望をすべて叶えてやろう。なに、見返りなどいらない」


吉川 「まじか、初めて見た。珍しい!」


悪魔 「まぁ、そうだろうな。あんまり見られないようにしてるから。いいから、望みを言え」


吉川 「うっわ、意外とプニプニしてる」


悪魔 「おい、触るなよ。なんで触っていいと思ったの?」


吉川 「ダメだった?」


悪魔 「ダメに決まってるだろ。お前デリカシーとかないのかよ」


吉川 「あんまりそういうのわからないんで」


悪魔 「わからないの? ヤバいぞお前それは。触っちゃダメだよ」


吉川 「でも触りたい感じだったから」


悪魔 「触りたい感じだったからって触っちゃダメだろ! お前、おっぱいとか見て触りたいなぁと思っても触らないだろ」


吉川 「なんでですか?」


悪魔 「なんでかわからない? 人間のなんかアレだろ! ダメだろ!」


吉川 「触りたいおっぱいだったら触りますけど」


悪魔 「ますけどじゃないよ! そうしてきたの、今まで!? よく問題にならなかったな」


吉川 「意外と気にしないタイプなんで」


悪魔 「お前が気にするかどうかじゃないよ。周りが気にするだろ! どうなってるんだよ、人間社会」


吉川 「うるさいこと言ってきたら黙らせればいいし」


悪魔 「よくないだろ! 人間なんだから協調しろよ!」


吉川 「待って。尻尾意外と柔らかい」


悪魔 「おい! おいおいおい! 言ってること聞いてた? なんで断りもなく尻尾触ったの?」


吉川 「硬そうだったから」


悪魔 「なんでって、お前の気持ちを聞いてるわけじゃないよ! なんで触っていいと思ったんだよ」


吉川 「最初にダメって言ってなかったから」


悪魔 「想定してないから言ってないんだよ! 尻尾ダメだよって言いながら出てきたら変な感じになっちゃうだろ。自意識過剰みたいで! 尻尾って一番そういうのセンシティブじゃない? サイヤ人とか弱点だし」


吉川 「サイヤ人もいけたら触ります」


悪魔 「いけないんだよ! 一回冷静になって判断しろよ。その場のノリで全部行動するんじゃないよ!」


吉川 「じゃ、あの。角いいスか?」


悪魔 「ダメだよ! 聞いたのは成長がみられてはいるけど、だからといってOKにはならないよ」


吉川 「うわ、マジか。なんかベタついてる」


悪魔 「おいおい! 信じられない! ダメって言ったのになんで触ったの?」


吉川 「ダメって言われたのにやるのが一番いいんで」


悪魔 「一番良くないよ! お前のその背徳感みたいなのに一役買うために否定したわけじゃないんだよ! やらないだろ、普通は」


吉川 「やらないと思ったでしょ?」


悪魔 「なに、そのしてやったりみたいな顔。弄ぶなよ、こっちの気持ちを! 悪魔に対してそういう態度だけはないぞ?」


吉川 「え、でもさ、これなんか見てよ。ほら、ここんところさ」


悪魔 「どれ?」


吉川 「ほら、ここのところさ。うわっ、腰細っ!」


悪魔 「でた! なにその自然な流れのボディタッチ!? お前そういうのは人間同士でもコラコラってなるだろ!」


吉川 「でも嫌じゃなかったでしょ?」


悪魔 「誘導するなよ! そういう自分の都合の良い展開に誘導するな! なんなの? ナンバーワンホストなの? 無理だよ、悪魔って身持ち堅いから」


吉川 「本当? え、どうだろ? そういうタイプなのかな? 性格って全部手に出るから。見せてみ」


悪魔 「またそうやって!」


吉川 「違う違う。じゃあ別にいいけど」


悪魔 「本当に違う? わかるの? 手相みたいなの?」


吉川 「知らない? 割と人間界では有名なんだけど」


悪魔 「知らなかった。どう?」


吉川 「え、二の腕しっとりしてる!」


悪魔 「ほら! 絶対やると思った! もうわかってたからね! 今のはわかっててあえて乗っただけだから。全然ノーダメージ」


吉川 「でも意外と悪くないな」


悪魔 「お前さ、身体触るのはいいから、もっと欲望を言えよ! せっかく悪魔が来てるんだから!」


吉川 「じゃ、お尻いい?」


悪魔 「そういうの以外で!」



暗転

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