年齢

吉川 「39歳です」


藤村 「39歳。なるほど。……にしては良いのではないでしょうか。骨年齢は25歳ですね」


吉川 「お、意外と若い。これっていいことなんですよね?」


藤村 「もちろんですよ。10年以上差が出るのはなかなかないですね」


吉川 「よかったぁ」


藤村 「あと爪年齢が素晴らしい。これが16歳ですよ」


吉川 「爪年齢っていうのがあるんですか? 初めて聞きましたけど16歳はすごいな。一番ツヤツヤしてる年頃じゃないですか」


藤村 「そう。これはすごいですね。肌年齢は86歳ですけど」


吉川 「ちょっと待って。肌年齢86歳なの!? 86歳の肌って、もう人間だか樹木だかわからないようなびひ割れてシワシワのやつじゃない?」


藤村 「ですね。あれ、ひょっとして樹木でしたか? それでしたら計算がまた違ってくるんですが」


吉川 「樹木じゃないよ。樹木は来ないでしょ、こんなところ。人面樹じゃないんだから」


藤村 「ですよね。人間ならば肌年齢は86歳です。ただこれはあくまでそういう傾向というだけで、実際にあなたが86歳になった時にどういう肌になるかではないんですが」


吉川 「なんか、今まで若めに聞いてたの全部吹き飛んだな。爪の16歳なんてぬか喜びだったよ」


藤村 「あと顎年齢がちょうど34歳ですね」


吉川 「なんだよ。顎年齢って。顎ってそんなに年によって変化するものなの? ちょうど34ってのもわからないし。何がちょうどなんだよ」


藤村 「四捨五入してちょうど34歳ですね」


吉川 「なにをどう四捨五入したんだよ。33,7歳とかだったの? 顎年齢に関してどう言われても感情が動かない」


藤村 「脳年齢が96歳ですけど、他の部分で言えばですね……」


吉川 「ちょ、ちょっとまってよ! 脳年齢96歳なの?」


藤村 「となってますね。まぁほら、あの老賢者みたいな感じで」


吉川 「老賢者なんて現実にいないだろ。96歳はみんなもう脳は危うい感じだよ! 結構底に達しちゃってるくらいだよ!」


藤村 「でもほら、エルフで言えばまだまだ若いので」


吉川 「エルフで言い出したら、もう今までの他の年齢も全く意味なくならない? エルフじゃねえしよ!」


藤村 「あ、でもほら。精神年齢は7歳ですから」


吉川 「若すぎるんだよ! バランス取れてないよ! 老獪な爺の脳のくせに精神が子供なのはサイコパスな悪役キャラだよ! 『殺しちゃうのが一番簡単なのに』とか言っちゃうやつだよ!」


藤村 「あ。見てください。脇年齢が32歳ですね」


吉川 「ここに来て脇年齢は何の指針にもならんのよ! 脳がジジイで心が子供キャラの脇に注目するやつ誰もいないんだよ! 肌年齢86歳で脇だけ32歳ってのも気持ち悪い! 脇も均等に年を取れよ!」


藤村 「あ、鼻年齢の方は38歳ですね」


吉川 「鼻年齢! 脳とか精神とか言われる前ならそれなりに注目できたかもしれないけど、今更鼻年齢を気にしてられない。しかも年相応! 特にリアクションもし辛い!」


藤村 「内臓年齢に関してですが、まぁ、それほど悪くはないでしょう」


吉川 「言わないの!? 今までズバッと年齢言ってきたのに! なんではぐらかしてるの? すごい怖いじゃん。どうとでもいいから言って欲しかったけど、もう一度ぼやかされちゃうと怖くて聞けないよ!」


藤村 「おっと、爪年齢が16歳です」


吉川 「聞いたよ! それはもう聞いた! その報告がピークだったよ! 今となってはどうでもいい爪年齢! リピートしてもかつての栄光は返ってこないんだよ!」


藤村 「しかしまぁ、人間は年齢じゃないですから」


吉川 「だったら最初から年齢で指し示すなよ! 言われたらどうしても気になっちゃうんだから!」


藤村 「内臓の方はバツですね」


吉川 「バツ!? まだ数値で言ってくれた方がよかったよ!」



暗転

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