ジェスチャー

藤村 「おいおい! なにやってんだよ?」


吉川 「え? なにが?」


藤村 「それ! そのジェスチャー。海外ではそのジェスチャーは侮辱にあたるから絶対にヤッちゃダメだよ」


吉川 「そうなの? 全然知らなかった」


藤村 「まじで撃ち殺されてもおかしくないから」


吉川 「そんなに!? どういう意味なの?」


藤村 「なにが?」


吉川 「侮辱って例えばバカとかあるじゃん? お前の母さん売春婦とか」


藤村 「意味はね、お前は縦列駐車が下手くそって意味だな」


吉川 「縦列駐車が下手くそ。そのためのジェスチャーがあるんだ? え? それで撃ち殺されるの?」


藤村 「海外だから」


吉川 「海外だとそれで撃ち殺されちゃうの? おちおち運転もできないな」


藤村 「だから気をつけな」


吉川 「わかった。教えてくれてありがとうね」


藤村 「あ、それ! そのジェスチャー!」


吉川 「ジェスチャー? あ、これか。これも?」


藤村 「それはもう海外だったら目に釘を打たれてもしょうがないから」


吉川 「目に釘を!? そんなことされてしょうがない状況ってある?」


藤村 「海外だから」


吉川 「結構ヒドい悪事を働いても、目に釘を打たれてしょうがないって割り切れることなくない?」


藤村 「DIYが盛んだから。あのバチーンて釘を打つ機械で一発でいかれる」


吉川 「みんな持ってるんだ。釘を打つ機械。そこまで怒るってどういう意味のジェスチャーなの?」


藤村 「これ? これはお前脇汗すごいなって意味」


吉川 「それで!? 脇汗すごいだと、コノヤロー!? って目に釘を打つの?」


藤村 「文化が違うからね」


吉川 「怒りの沸点のわからなさが怖い」


藤村 「あー、それ! その怖がり方! ヤバい!」


吉川 「特に何もやってないよ!」


藤村 「微かにやってた。そのわずかな動きをを海外の人は見逃さない」


吉川 「そんな目を光らせてるの? ジェスチャー狩りじゃん」


藤村 「そんなことしたら関節を極められた上で性感帯を羽箒でくすぐられながら撃ち殺されてもしょうがないから」


吉川 「関節と性感帯のタスクいらなくない? 最後撃ち殺されるんでしょ?」


藤村 「海外だから」


吉川 「海外だからの一言でマルチに納得させられると思ってない?」


藤村 「実際にそうなんだよ。文化が違うから信じられないと思うけど」


吉川 「意味は何なの?」


藤村 「どれの?」


吉川 「その関節と性感帯と銃殺が許容されるほどの侮辱のジェスチャーの意味だよ」


藤村 「意味は、なんか私って食べても太らない体質なんだよねぇってジェスチャー」


吉川 「確かにしょうもないマウントだけど。それで関節と性感帯と銃殺は割が合わなくない?」


藤村 「運が良ければ性感帯とを羽箒でくすぐるのは省略されるかもしれない」


吉川 「どっちでもいいよ! そこに対してウェイト置いてないから」


藤村 「とにかく気をつけないと、海外ではそう見られるんだから」


吉川 「本当に? なんかあまりにも言ってることが過激すぎて信憑性がなくなってきた」


藤村 「あー、それ! まさに今のその動き!」


吉川 「いや、今のはわざとこの世にありえないような不自然な動きをしたんだけど?」


藤村 「それがちょうど一番やばいジェスチャー。もうこの世でこんな事言われたら何をされても文句を言えない。関節という関節を逆側に捻じ曲げらた上に脊髄を抜き取られて煮え湯に落とされてもしょうがないから」


吉川 「そんなエビの下ごしらえみたいなことをされることある? 関節の時点で多分もう死んでるよ」


藤村 「海外だから」


吉川 「海外はエビの下ごしらえが盛んなの? 一体どんな意味なんだよ?」


藤村 「お前の言ってること信憑性ないんだけど? ってジェスチャー」


吉川 「そう言ってるんだよ」



暗転

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