吉川 「というわけで最下位の藤村さんは罰ゲームの電撃ビリビリの刑になります!」


藤村 「あぁ、低周波治療器だ」


吉川 「さぁ、今のお気持ちはどうでしょう?」


藤村 「つい感慨深くなってしまいますね」


吉川 「感慨深い? 罰ゲームですよ」


藤村 「この低周波治療器を作った人はどういう人なんだろうって考えてしまって。きっと大変な努力を重ねて開発されたんだと思うんです。低周波治療伯爵も」


吉川 「すべての発明がサンドイッチみたいなロジックで命名されてないと思いますが」


藤村 「電気を使うことで身体を治療することはわかっていたのでしょうが、それを実用化するには大変だったと思います。電力が安定供給されるようになってからたかだか数十年ですよ。そして決して怪我などがあってはならない。ピチューですら最初は電気を上手く扱えないくらいですから、想像を絶する苦労があったはずです」


吉川 「そうかもしれないけど、引き合いにポケモン出されるとちょっとブレるな」


藤村 「周りからも反発があったでしょう。身体に電気を通すだなんて、現代だって理解できない人が多そうなことを数十年前の時点でやっていたんです。バカなことはやめろと言われ、子供はいじめられ、家には石を投げられる始末。それでも開発を諦めなかった! なぜなら人々の健康を祈っていたから! ただそれだけを信念に逆風の中を開発し続けたんです」


吉川 「すごい見てきたようなことを言う」


藤村 「そんな思いでやっとのこと開発に成功した低周波治療器。これによって一体どれほどの人が救われたことでしょう。あなたの夢見た人々の笑顔が今この時代には溢れています。さぁ、使ってください! 人々の健康のために全てを投げ売った開発者の、夢を叶えてください!」


吉川 「もう罰ゲームとして笑えないじゃん。ちょっとビリビリして朗らかに終わるだけで良かったのに」


藤村 「しないんですか?」


吉川 「この流れでできる? じゃあもうアレだ。青汁でいいよ。罰ゲームは青汁一気飲み!」


藤村 「これを生産した農家さんは暑い日も寒い日も雨の日も、食べてくれる人の笑顔だけを考えて自分の子供のように丹精込めて育ててくれたんでしょう」


吉川 「ほら、それ! それやめて。ドラマを背負わせないで」


藤村 「世界のすべてのことに敬意を持って生きていれば、罰なんてものは存在しないんじゃないですか?」


吉川 「最初から最下位は罰ゲームってルールだったじゃん。なんで自分が最下位になってから重厚な意見っぽいものを提言するの?」


藤村 「この汚れきった社会を変えたい! まずその一歩はここからだと思ってます」


吉川 「罰ゲームから? 一歩目それでいいの? 正直、そんな汚れきった社会だとも思ってないけど」


藤村 「誰もが笑顔で過ごせる世界こそ、みんなが求めるものじゃないですか?」


吉川 「つべこべ言わずに電気でビリビリしてくれたら、みんなそれなりに笑顔で追われたんだけど。見てよ。なんかしんみりした感じになっちゃった。問題提起されちゃったせいで」


藤村 「わかりました。じゃあ、今回が最後ということで。罰ゲームを受けましょう。おっぱいに挟まれる系でも、お尻に挟まれる系でも、何でも来い!」


吉川 「なんでちょっといいやつに先導してるんだよ。それはもう罰じゃないだろ」


藤村 「なんでもいいです。十字架に磔にされて一週間後に復活するやつでもいいです」


吉川 「それは罰ゲームってカジュアルさじゃないんだよ。すごい怒られそうな事を言うなよ」


藤村 「そもそも人が人を罰する権利なんてあるんでしょうか?」


吉川 「どんどんややこしい方向に持っていく」


藤村 「こんな人権を無視した行いを許していいんでしょうか? いいや、今こそ立ち上がるべきだ! こんな蛮行を二度と行わせてはいけない!」


吉川 「煽るなよ! なんか盛り上がってきてるし」


藤村 「立ち上がれ! 非道な司会者である吉川を許すな!」


吉川 「支配者みたいに言うね、司会者を」


藤村 「というわけで、吉川は電撃ビリビリの刑!」



暗転

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る