クイズ

吉川 「では次の問題です。アマゾン川で……」


ピンポーン!


吉川 「はい、藤村さん」


藤村 「ポロロッカ!」


吉川 「残念! 問題文をよく聞いてください。アマゾン川で……」


ピンポーン!


吉川 「藤村さん」


藤村 「ポロロッカ以外!」


吉川 「ん? えーと、違います。残念。問題文を最後まで聞いてください。アマゾン川で見かけられる肉食の淡水魚で映画のモチーフにもなった魚は? ということで、正解はピラニアでした」


藤村 「あの、すみません」


吉川 「どうしました、藤村さん」


藤村 「合ってたと思うんですけど」


吉川 「ええと、違いますね、正解はピラニアでした」


藤村 「じゃあ合ってますね」


吉川 「え? すみません。ちょっと確認させてもらっていいですか?」


藤村 「早くしてください」


吉川 「ええと、確認した結果、やはり不正解ということで」


藤村 「言いましたけど?」


吉川 「藤村さんはポロロッカと答えてました」


藤村 「それは一回目ですね。二回目は合ってます」


吉川 「二回目もポロロッカみたいなことを言ってませんでした?」


藤村 「ポロロッカ以外と言いました」


吉川 「ポロロッカ以外。それはどういう意味ですか?」


藤村 「ポロロッカ以外です」


吉川 「何の説明にもなってない。そういう名称があるのですか、ピラニアに」


藤村 「いえ、ポロロッカ以外の森羅万象全てです。当然ピラニアもそこに含まれます」


吉川 「……えーと、これはクイズ番組なんですが」


藤村 「はい。なので正解だと思います」


吉川 「森羅万象全てを答えられてそれを正解にしちゃうと、もう全部それでOKってことになっちゃいますが」


藤村 「論理的にはそうですね」


吉川 「論理的と言うよりクイズ番組なので、正解そのものを答えてほしいんですが」


藤村 「わかります。ただ不正解ではないわけですよね? 間違いという判断はおかしいと思います」


吉川 「クイズとしては不正解ですよ」


藤村 「ではそれが正しいかどうか法廷以外で決着を着けましょう」


吉川 「訴えるの? クイズ番組の正解かどうかを?」


藤村 「訴えません。法廷以外でですから」


吉川 「法廷以外。……のなに!? 具体性が一つもない」


藤村 「殺し以外何でもしますよ」


吉川 「そんな物騒なこと言われても。ちょ、ちょっと! 何してるんですか!?」


藤村 「見ての通り尻を出してます。言ったでしょう、殺し以外何でもすると!」


吉川 「それが? それが殺し以外のこと?」


藤村 「これが殺しに見えますか?」


吉川 「いや、殺しには見えないけど。殺し以外なんでもの中に尻を丸出しにして踊るっていうのが含まれると思ってなかったので」


藤村 「いいんですか、このままじゃネットで炎上以外のことさせますよ?」


吉川 「ネットで炎上以外! それが一番嫌だからそれ以外ならまだマシそうな気がする」


藤村 「楽屋の座布団をビチャビチャにしておきますよ?」


吉川 「嫌だな。嫌だけど、それがネットで炎上以外。もっと幅広く嫌がらせできそうなのに割と地味な」


藤村 「ビチャビチャ以外がお望みかな?」


吉川 「そりゃビチャビチャ以外が望みに決まってるけど。思ったより実害はなさそう。でもどうすればいいんですか?」


藤村 「ピラニアはポロロッカ以外でしょうが! ピラニアはポロロッカですか? そう決めつけるんですか!?」


吉川 「それは理屈で言えばそうだけど。それがまかり通ったらクイズが全てその答えに収束してしまう」


藤村 「クイズの特性を尊重して正解でなかったとしても、なんかオマケ的なものがあるでしょう!」


吉川 「もう引くに引けなくなってない? では次の問題からはそうしますので、それでよろしいですか?」


藤村 「しかたありません。それで飲みましょう」


吉川 「では次の問題です。中央アメリカのパナマと陸上で国境を接している……」


ピンポーン!


吉川 「はい、藤村さん」


藤村 「コロンビア!」


吉川 「残念。問題文を……」


ピンポーン!


吉川 「藤村さん」


藤村 「コロンビア以外!」


吉川 「はい。正解以外です! 0点獲得」


藤村 「よっしゃー!」


吉川 「それでいいんだ」



暗転

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