ぺてんし

一般論

藤村　「それはあくまで一般論として、と受け取ってよろしいですか？」

吉川　「そうです。私個人は必ずしもそうだとは考えておりませんが、一般論としてその可能性が高いと考えられます」

藤村　「なるほど。では一般にゃんとしてはどう思われますか？」

吉川　「……すみません、もう一度お願いできますか？」

藤村　「一般にゃんとしてはどう思われるにゃん？」

吉川　「なんですか、その一般にゃんってのは」

藤村　「一般のにゃんです」

吉川　「どういう意味ですか？」

藤村　「個人的なにゃんではなく、一般的なにゃんのことです」

吉川　「にゃんがよくわからないんですけど」

藤村　「にゃんがわからない？　今まで一度も聞いたことありませんか？」

吉川　「聞いたことは、えっと、猫の鳴き声」

藤村　「わかってるじゃないですか」

吉川　「あ、それなんですか？　そのにゃんが何なんでしょう？」

藤村　「それはこちらが伺っていることで。一般にゃんとしての見解を教えて欲しいにゃん」

吉川　「えーと、一般論と同じ見解としかお答えできません」

藤村　「違います」

吉川　「違う？　なにが？」

藤村　「違うにゃん」

吉川　「……一般論と同じ見解だにゃん」

藤村　「ありがとうございました」

吉川　「合ってたんだ。それで」

藤村　「続いて一般麺としてはどうでしょう？」

吉川　「い、一般メン？　もう全然わかりません」

藤村　「やはり最近暑くて食欲も落ちるので素麺が一般的かなと思うんですが」

吉川　「その麺。それがなにか？」

藤村　「一般麺としてはどうですか？」

吉川　「どうって言われても。素麺でいいと思います」

藤村　「つゆは？」

吉川　「つゆ？　麺つゆのこと？」

藤村　「はい」

吉川　「お好きにしていただければ、と」

藤村　「違います」

吉川　「違うって何。ルールがわからないから違うとか言われても対処できない」

藤村　「つゆのメーカーは？」

吉川　「メーカー？　何を聞きたいんですか？」

藤村　「一般論のつゆを作ってるお醤油のメーカー」

吉川　「いっぱ……。キッコーマン！？」

藤村　「正解！」

吉川　「よっしゃ！　なるほどね。一般論でキッコーマン。……なにが？」

藤村　「キッコーマンって会社名、改めて聞くとドキッとしますよね」

吉川　「何の話をしだしてるの？」

藤村　「子供の頃から自然と慣れ親しんでるけど、もしキッコーマンを知らない世界で育って『会社名をキッコーマンにするぞ』って言われたら、それはちょっとって言いたくなっちゃう。そういう会社だと思われちゃいますよって」

吉川　「大きなお世話でしょ。伝統的な会社だよ。昔からある。そういう意味がない時代からあるんだから」

藤村　「亀甲にマンだよ？」

吉川　「やめろよ！　普通の言葉だよ！　亀甲も普通の言葉！　マンも普通の言葉！　何もおかしくない！　変に思うやつが変なんだよ！」

藤村　「では続いての質問ですが、素麺をつゆで食べる時ちょっとさっぱりしたいなーと思った時に入れるものとは？」

吉川　「それは質問じゃなくてクイズでしょ。なにそれ。ワサビ？」

藤村　「違います。もっとさっぱりと」

吉川　「生姜？」

藤村　「一般論として」

吉川　「わからないよ。ないよ、一般論は。その質問には」

藤村　「さっぱりと」

吉川　「梅？」

藤村　「惜しい！　一般論で！」

吉川　「酸っぱい梅！」

藤村　「正解！」

吉川　「なんだよ、正解って。そういう時間じゃないだろ今」

藤村　「何の時間でしょう？」

吉川　「だから会見をしてるんでしょ！　今回の件についてこちらからの見解を！」

藤村　「では改めて、謝罪の方をお願いします」

吉川　「なんでだよ！　謝罪はしないよ！　謝罪会見じゃないんだから。謝罪をするようなことは何もしてない！」

藤村　「本当に何もしてないですか？　あるんじゃないですか？」

吉川　「なにが！」

藤村　「一般論で……謝罪をするような」

吉川　「失敗談！」

藤村　「正解！」

暗転