竜人族

竜人 「我ら竜人族も決して人間たちと争おうと思っているわけではない」


吉川 「それなら共に未来を作っていけたらいいですね」


竜人 「人間たちが愚かないがみ合いをやめればよい話ではあるがな」


吉川 「ところで、竜人ってのは竜と人間のハーフなんですよね?」


竜人 「違うな。竜人は竜人の子だ」


吉川 「お父さんもお母さんも竜人?」


竜人 「そうだ」


吉川 「でも遠い祖先には竜と人が交わったわけですよね?」


竜人 「そう。我らの歴史はそこから始まった」


吉川 「竜に欲情したメチャクチャなド変態が始祖ってことですか」


竜人 「……竜と人が愛し合ったんだ」


吉川 「でも、したわけでしょ? 竜と。ちょっと考えられないなぁ。馬とか犬とかの話は聞いたことあるんですけど、竜とね。あれを見てよくイケるなって思いましたね」


竜人 「知らん! そういう具体的なことは別に伝わってない!」


吉川 「でもヤッちゃったわけですよね? 竜も竜だよね。人間イケるのかな? サイズ全然違うけど。試しにやってみるか、くらいの感覚でいたしたわけですよね?」


竜人 「いたしてるかどうかわからないだろ! なんかもっと神秘的なアレで生まれたのかも知れないだろ!」


吉川 「いやいや、やめましょうよ。大人なんだから。生物なんだから交尾して生まれてるんですよ。あなたたちの始祖は」


竜人 「やめろよ! そういうのは言わないのがお約束だろ! それを言い出したらお前の父と母だってそういうことしてるんだよ! 言われたら嫌だろ?」


吉川 「まぁ、事実ですからね」


竜人 「事実であっても改めてそこにフォーカスされると嫌だろ! お前の父さん、母さん相手に欲情したんだ。とか」


吉川 「でも若い頃だし。なにより人間同士だから別に。でも竜と人は」


竜人 「愛だろ! まず愛があったんだよ! そのあとのことは流れでいってるだけだから!」


吉川 「その流れってのが問題なんじゃないですか。そんな流れ方しますか? 激流じゃないですか」


竜人 「詳しくはいいだろ! そんなこと考えないんだよ、普通は」


吉川 「考えてみたらそれだと竜人が生まれても一代で終わってしまうわけで。ほかにもそういうプレイをしてた竜と人がいたって事になりますね」


竜人 「プレイって言うなよ! 愛だから。今後プレイっていう言葉を言いたくなっったらすべて愛に言い換えて!」


吉川 「やっぱり一人がいったら噂広まるんですかね? おいおい、竜意外といけっぞ? みたいな。そう考えると最初のド変態は偉大ですね」


竜人 「その観点からしたらあらゆる生物がド変態だろ! 竜人に限ったことなく!」


吉川 「逆鱗を軽くくすぐると感じるらしいぞ、みたいな噂立ったりして」


竜人 「竜全体をバカにしてるな!」


吉川 「バカにはしてませんよ。ただ人としようって考えるのもね。なんか竜人って堅物みたいなイメージだけど、相当柔軟な発想をしないと。それとも性欲に勝てなかったのかなぁ?」


竜人 「お前堅物の竜人に対してよくそこまで無礼なこと言えるな! なめてんだろ!」


吉川 「人間同士でも子供とかに手を出すのは最悪な犯罪なわけですよ。もう許されない。まずパワーバランスが違うし。大人が力づくでしたら子供は抵抗できないわけで。だからこそ絶対にやっちゃいけないことなんですよ? そう考えると竜が人をってのは流石に」


竜人 「無理やりじゃないだろ! そんな風に伝わってないから!」


吉川 「どうだか。竜がそう言い張ったら人間がなんと言おうと聞く耳もたれないわけで。時代も時代ですしね。泣き寝入りですよ、か弱い人間は」


竜人 「なんで愛を前提に考えないんだよ! まずそこだろ!」


吉川 「そりゃ愛がないとは言いませんよ? でもほら、愛だけじゃ物理的なものは乗り越えられないわけでしょ? 繁殖ってのは科学なわけだから」


竜人 「おおらかな時代だったんだよ! はるか遠い神話の世界だから! 色々あったの! 神とか人とか色々! 現代の価値観だけで判断しないで!」


吉川 「でも竜と人ですよ? いけます? いや、今はあなたみたいなちょうどいい中間のがいるんでいけるかなって気にはなるんですけど」


竜人 「そういう目で見ないでよ!」



暗転



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