吉川 「ド緊張してさー」


藤村 「ドキンチョウ? あぁっ! すごい緊張ってことか」


吉川 「あぁ、そうそう。ド緊張って言わない?」


藤村 「いや、聞いたことないな。ドキンという音に惑わされて一瞬意味が分からなかった」


吉川 「緊張ね。スーパー緊張みたいな」


藤村 「ドを使うのすごいな。ドなんて普通使わないだろ」


吉川 「使わない? 割と俺は使うけど」


藤村 「ドなんて普通はド淫乱の時しか使わない表現だろ」


吉川 「えぇ……。逆にド淫乱を使わないよ。日常でド淫乱という単語を会話に使用することないから」


藤村 「じゃあすごい淫乱のことなんて言うの?」


吉川 「すごい淫乱の話はしないもの。どこで話すの? すごい淫乱に関するエトセトラを」


藤村 「話さないものなんだ。俺なんか会話の8割はド淫乱にまつわるエピソードだけど」


吉川 「誰と話してるんだそれは。気持ち悪いな」


藤村 「あっ! もう一個あったわ。ド変態の時にも使うな」


吉川 「もっと汎用性あるよ! 変態と淫乱の枕詞じゃないんだよ」


藤村 「ドエロとか?」


吉川 「なんでそっち方面から頑なに離れないの? でもドアホとは言うけどドバカとは言わないから西の方の言い回しなのかもしれない」


藤村 「ということは西の方が淫乱が多いってことかな?」


吉川 「どういう理論で『ということは』と導き出したの? 全くそんな話じゃないんだが?」


藤村 「統計的な話としてさ」


吉川 「完全にお前の主観だし、統計的な話には全く触れてなかったよ」


藤村 「でもドをさらに超えた超ド級ってのもあるじゃん」


吉川 「あー、あるな。あれはなんか戦艦名前が元になってた気がする」


藤村 「戦艦ってのは、つまりアレの隠喩として?」


吉川 「何の話をしてるの?」


藤村 「言葉を濁すからあんまりよくわからない」


吉川 「濁してないよ。戦艦は戦艦として話していて何かの暗喩として戦艦と呼んでるわけじゃないんだよ」


藤村 「でも超ド級って巨乳の時にしか使わない言葉でしょ?」


吉川 「使うよ! そんな限定的な枕詞じゃないんだよ! ちょっと待って、今調べる。えっと、ドレッドノートという名前の戦艦があって、そのくらいの大きさの戦艦を弩級戦艦って言ってたんだって。で、弩級戦艦を更に超える大きさの戦艦のことを超弩級戦艦と呼んだんだって」


藤村 「もうなんかおっぱいの話をしてるのかチンチンの話をしてるのか混乱してくるな」


吉川 「してない! どっちもしてない! どっちにも全く掠ってないんだよ。何を聞いてたの?」


藤村 「だって戦艦ってのは」


吉川 「戦艦は戦艦だよ。戦う船だよ! 大砲とかついてる」


藤村 「大砲ね……」


吉川 「違うよ! 普通の兵器の大砲だよ!」


藤村 「うん。普通の大砲だと思ったよ?」


吉川 「そこはすんなりなんだ。お前の想像力のキワがわからないな」


藤村 「つまり超ド級ってのはデカいってことでしょ?」


吉川 「ざっくりと言えばそうだな」


藤村 「巨乳以外でどこで使うの? そんな言葉」


吉川 「確かにあんまり聞かないけど。なにせ戦艦とかの話だから昭和の言葉だろ? 最近は馴染みがないってだけで」


藤村 「巨乳に関しては最近も使う」


吉川 「もうそれだけになってるの? 時代とともに言葉は移り変わって。未来の人間が古文をやる時大変だな」


藤村 「まぁ、戦艦は戦艦ってのでわかったよ。デカい戦艦があったんだろ。昔は」


吉川 「今もあるんじゃないか? よく知らないけど」


藤村 「テクノロジーが進めば小型化されるからどうかな」


吉川 「あ! 有名な大和が超弩級って書いてあるわ」


藤村 「聞いたことあるな。戦艦大和」


吉川 「不沈艦って呼ばれてたんだって」


藤村 「フチンカン? やっぱり隠語じゃないか!」


吉川 「もうそれでいいよ!」



暗転

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