通訳

吉川 「まずは国家間の緊張状態を緩和し、早急に相互利益のための方針を打ち立てていくことが先決だと思います」


首相 「לקחתי לתשומת ליבי. אני מבין את מטרתך לחלוטין. זהו לעומת התוכן שאתה מציין.」


藤村 「わかる! まじでそれ!」


吉川 「……。我々の国々は歴史的な経緯により対立が生じておりますが、その複雑な背景を踏まえつつ、真摯な対話を重ねることが不可欠であると考えております」


首相 「כְּלָלֵךְ צָדִיק! בַּמָּקוֹם הַקָּשֶׁה הַזֶּה, יֵשׁ לְכָבֵּד אֶת עֵמֶק הַתְּפַּקְדוּת וְלַחְפֹּשׁ אַחֲרֵי פְּתָרוֹן בְּנוֹי. אֵין בְּאָפְשָׁרוּתֵנוּ לְשַׁכֵּחַ אֶת הַמְּאֻמָּץ הַמְּשֻׁרָהַבֵּּר בֵּינֵינוּ. לְמַעַן אַזְרֵנוּ הָעָם, יֵשׁ לְגַדֵּל אֶת הַהֲבָנָה הַשְּׁתוּפָה וְלַעֲמֹּק אֶת הַמַּאֲמָץ לַהֲבִיא לְהַבְרָקָה זוֹ אֵין אֶחָד.」


藤村 「言うねぇ! さすがキッちゃん。そういうところまじリスペクト。一緒にカマそうぜ?」


吉川 「あの、ちょっと。通訳の方?」


藤村 「私でございますか?」


吉川 「はい。あの、失礼ですけど。本当にそう言ってます?」


藤村 「どういうことでしょうか?」


吉川 「なんか、感じが違うっていうか。向こうの首相はほら、表情一つ変えてないし」


藤村 「はぁ、できる限り厳密に通訳しているつもりではありますが」


吉川 「そうなんだ。すみません。ニュアンスみたいの違うのかなぁと思っちゃって」


藤村 「それ、伝えますか? 向こうの首相に」


吉川 「いえいえいえ。それは結構です。話を続けてください。では、ご指摘にはまったくもって同感です。この難局を乗り越えるためには、互いに譲歩を示し、信頼関係を築いていくことが肝要です。誠実な交渉の場を設け、相互の利益を最大化する道を模索しましょう」


首相 「נכון, אני מבין במידה מסוימת את דעתך. אך אני גם עם אחראיות לייצג את קול הציבור.」


藤村 「出た出た! 参っちゃうな、キッちゃんには。その勢いで夜もブイブイ言わせてるんじゃないの?」


吉川 「あの! 本当に言ってます?」


藤村 「……קסט לשפה」


吉川 「違う違う。あなたに! 通訳の方に!」


藤村 「私でございますか?」


吉川 「そのトーンで伝えてるんだよね? 丁寧な言葉遣いをしてるんだよね?」


藤村 「なるべく、厳密に」


吉川 「夜もブイブイって言った? 突然、あっちの首相が?」


藤村 「なにぶん両国の文化的な背景が異なるので完全にとは言えませんが、できるかぎり正しく伝えておりますが」


吉川 「だってめちゃくちゃ怖い顔してるよ? あんなに眉間にシワ寄せて夜もブイブイって言う?」


藤村 「言葉からはそういった雰囲気は出ているんですが」


吉川 「そうなの? じゃあちょっと向こうに合わせたほうがいいのかな。我々両国も兄弟のようなものですから、ブラザーという感じでね。お互いのバイブスを高めあっていきたいなと、プチョヘンザ」


首相 「אני מבין שזו אינה התנהגות מתאימה לסוג זה של דיון, אך האם ניתן לראות את זה כהפרעה?」


藤村 「YOブロウ! ユニティ感じる瞬間最高で最強! パーティーでフロアを揺らそうぜ!」


吉川 「え? そう言ってる? なんか立ち上がって捲し立ててるけど? ちょっと。SPの人たち来たけど、最高で最強って言ってる?」


藤村 「確実に言ってます。フロアを揺らそうとしているのではないですか?」


吉川 「そういうこと? こんな剣幕で? フロアもこんな緊張感で揺れることなんてあるの?」


首相 「אחד יעזור לשני, נשתדל לעמוד באמון הציבור ולהתמודד עם האתגר הקשה הזה. באיחודנו נוכל להתגבר עליו ולהתקדם יחד.」


吉川 「な、なんて?」


藤村 「もう言葉はいらねえ! ダンスでバトルだ! と言ってますので、私は失礼させていただきます」


吉川 「絶対に言ってないだろ!? 言葉いるんだよ! おい! 戻ってこいよ!」



暗転

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