選挙カー

吉川 「よろしくお願いします。吉川でございます。少子化問題に立ち向かう。吉川でございます。あっ! 街道の方々手を振ってくれてありがとうございます。吉川でございます」


藤村 「お騒がせしております。藤村でございます。吉川候補のご健闘をお祈りしております。藤村でございます」


吉川 「どうも藤村候補ありがとうございます。お互いに国民の皆様のことを考えてより良き未来を作りたいと思っております。吉川でございます」


藤村 「ありがとうございます。藤村でございます。ともに全力を尽くして頑張りましょう」


吉川 「吉川でございます。少子化問題、貧困家庭、シングルマザー問題、国政が蔑ろにしている未来に寄り添いたい。吉川でございます」


藤村 「藤村でございます。吉川候補のご意見はごもっともでございます。先日も吉川候補はシングルマザーに相当寄り添っておりました!」


吉川 「吉川でございます。誤解を招きかねませんがそういうことではございません。個人ではなく皆様困ってる方々全員に寄り添いたい。吉川でございます」


藤村 「藤村でございます。さすが吉川候補、一人では飽き足らずできるだけ多くの方と寄り添いたい。寄り添って色々なことをしたいと。大変結構なことでございます」


吉川 「言い方にちょっと語弊があるように思えます、吉川でございます。社会から見捨てられている弱者に手を差し伸べたい。そういう気持ちでございます」


藤村 「藤村でございます。素晴らしいご意見でございます。吉川候補がシングルマザーの一体どの部分に手を差し伸べるのか、あんなところやこんなところ、今までいろいろな部分に手を差し伸べてきたのでしょう」


吉川 「そういう意味ではございません! 例えば女性だけでなく、性的マイノリティーや弱者男性などに関してもきちんと援助をしていきたいと考えております」


藤村 「藤村でございます。やはり吉川候補、援助に関しては一家言あるご様子です。以前から様々な援助をしてきたのでしょう。こういった姿勢は国民の皆様がきちんと知っておくべきでしょう」


吉川 「そういう援助はしていない! 適切なやつだけでございます!」


藤村 「藤村でございます。立派な志に頭が下がります。熱い想いを一杯に膨らまして選挙に挑む吉川候補の健闘をお祈りしております」


吉川 「そういう変な想いではございません。純粋な未来の若者たちに対する思いでございます!」


藤村 「藤村でございます。まだ年端もいかない子どもたちに対してまでそのような情熱を注ぎ込みたいとは。吉川候補は一味違います」


吉川 「お前ちょっとマイクを切れよ! 降りてこい! ちょっと直で話そう」


藤村 「藤村でございます。激しく熱い思いをこちらにもぶつけていただいて恐縮でございます。ですが私は国民の皆様のことだけを考えていたいので吉川候補のお誘いに対してはご辞退させていただきます」


吉川 「そういう意味じゃねえよ! お前本当にケンカ売ってるだろ? あん?」


藤村 「藤村でございます。皆様お騒がせしております」


吉川 「じゃあ聞くけど、お前の政策はなんなんだよ!? さっきから人のことばっかり言いやがって。自分のやりたいこと一つも言ってないじゃねーか!」


藤村 「藤村でございます。ありがとうございます。皆様、ご不用になったテレビ、家電、洗濯機などございましたらお声がけください。こちらから取りに参ります」


吉川 「……っ!」



暗転

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