映画評論
吉川 「それでは映画評論家の藤村さん、今日ご紹介していただく映画は何でしょうか?」
藤村 「はい。今日オススメするのはロッキーです」
吉川 「おぉ! ロッキー。確かアカデミー賞も?」
藤村 「はい。作品賞、監督賞、そして編集賞も受賞しております」
吉川 「言わずとしれた名作ですね。ではさっそくご紹介の方よろしいでしょうか」
藤村 「はい。ロッキーは日本では1977年に公開された映画です。主演を努めたのは今では誰もが知るハリウッドスターのシルベスター・スタローン。ですがそれまでは低予算映画や脇役ばかりでほとんど無名の役者でした。そしてこのロッキーの脚本を書いたもの実はシルベスター・スタローンなのです。つまりこれは、ワンピースのルフィ役を尾田栄一郎さんが演じたような映画なのです」
吉川 「え? そういうことですか?」
藤村 「まぁ、映画とアニメの違いはありますが。名探偵コナンのコナン役を青山剛昌さんが演じたといってもいいでしょう」
吉川 「そういうことじゃない気がするんですけど?」
藤村 「庵野秀明さんがウルトラマン役を演じたようなもので」
吉川 「それはあるけど! 全然納得はいかないですが話を進めましょう」
藤村 「舞台はフィラデルフィア。そんな変な名前の場所あるわけありませんけども」
吉川 「いや、あるでしょ。アメリカに! 勝手に架空の土地にしないでくださいよ」
藤村 「あるの? 早口言葉みたいなものでしょ? フィラデルフィア第二中学校とかあるの?」
吉川 「第二中学校があるかどうかはわからないけど、地名としてはちゃんとありますよ」
藤村 「そうですか。ともかく、シルベスター・スタローン演じるロッキー、借金の取り立てなどで日銭を稼ぎ自堕落な生活をしてました。そんな時に、アポロというパーマの人から手に変なものをハメて殴り合う戦いを挑まれます」
吉川 「ボクシングですね」
藤村 「いや、牧師ではありません。借金の取り立てなどをしてまして」
吉川 「違います。競技が。ボクシングですよね」
藤村 「ボク? ちょっとよくわかりませんけど、手に変なものをハメてですね、ちょっと高くなった四角いステージで殴ったりするんです」
吉川 「それがボクシングですよ。え? ボクシング知らないでロッキー見てたの?」
藤村 「別にそんな細かい部分を知らなくても名作ってのは楽しめるものですよ」
吉川 「細かくないでしょ。ボクシング映画でしょ? そこわからないで見てる人いたの?」
藤村 「じゃああなたは宇宙人が侵略してくる映画で異星の文化や戦い方やルールなんか全部把握してるんですか? 知らないと楽しめないものなんですか?」
吉川 「確かにそうかもしれないけど。ボクシングまったく知らないってことあります?」
藤村 「殴り合いの様式なんて知りませんよ。野蛮人じゃあるまいし」
吉川 「そんな言い方はないと思いますけど、わかりました。続けてください」
藤村 「はい。そしてロッキーは親友であるポーキーの妹であるエイドリアンに対して執拗につきまといます」
吉川 「ロッキーはエイドリアンに恋してたんですね」
藤村 「恋? いえ、なんかつきまとって気持ち悪いこと言ったりします。この辺りはあんまりよくわからない場面ですね」
吉川 「恋愛描写でしょ? え? 恋も知らない?」
藤村 「じゃあ、あなたはゲーデルの不完全性定理を知ってるんですか?」
吉川 「知りません。はじめて聞きました」
藤村 「誰だって知らないものがあるでしょう? それを論って蔑むなんて最低ですよ」
吉川 「いや、でも恋は。映画評論家でしょ?」
藤村 「そんなもの知らなくても映画は楽しめる!」
吉川 「言い切ったなー。恋愛の概念抜きで? 楽しめてるかどうかもわからないんじゃない?」
藤村 「例えば最後に黒い背景に白い字が上ってくるやつなんて、見ていて毎回美しいと感動しますし」
吉川 「そこを? 映画のそこ? エンドロールで盛り上がるの?」
藤村 「とにかく、ロッキーはオススメです!」
吉川 「何もわかってないのによく映画の評論できるな」
藤村 「次回はよくわからないタフな男がよくわからない世界で生き抜く最高の映画、マッドマックス 怒りのデス・ロードです」
吉川 「奇跡的に合ってるわ!」
暗転
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます