IQ

藤村 「実は俺、IQ180以上あるんだよね」


吉川 「本当? すごいじゃん。調べたんだ?」


藤村 「調べたっていうか、判明したっていうかね」


吉川 「やっぱりそれくらいになると向こうから調べに来るもんなのか」


藤村 「いや、試験っていうか。問いに答えてね」


吉川 「へぇ、どんなの?」


藤村 「軽々しく質問するなぁ。ちなみにその質問に答えたらIQいくつになるの?」


吉川 「え? これはただの質問なんだけど」


藤村 「だからそういうのさ、答えることによってIQがわからないと意味がなくない? 俺の180だってそれで判明したんだから」


吉川 「え? それでって?」


藤村 「この問題が解けたらIQ180以上ってやつ。余裕で解けた」


吉川 「あー、あのSNSとかで流れてくる広告みたいなのか。なぁんだ」


藤村 「いや、広告じゃねえし。みんなシェアしてたやつだから」


吉川 「別にあれはIQを精査する機関が作ったわけじゃないでしょ? ただ適当に言ってるだけじゃないの」


藤村 「ほとんどの人が解けないって言ってた。東大卒でも無理だって」


吉川 「まぁ、誰でも解けますとは言わないよね」


藤村 「信じてないの? 俺のIQ180を?」


吉川 「だって言ったもん勝ちでしょ、それは。IQの数字だって裏付けがないし」


藤村 「IQを司る神が作ったかもしれないだろ!」


吉川 「IQは神が司ってないだろ。人間が勝手に生み出した評価システムじゃないの?」


藤村 「IQ低いやつが吼えてるわ」


吉川 「別に低くないと思うよ。というかもしIQが高かったとしても、IQだけを人間の評価として考える人って頭悪いじゃん」


藤村 「頭はいいんだよ! IQ180なんだから。もう結果として出てるんだから。お前が否定しようと覆らないの!」


吉川 「別に本人がそれで幸せならいいんじゃない。でも鼻にかけるのはやめたほうがいいよ」


藤村 「なんでやめたほうがいいんだよ? IQを使って説明しろよ!」


吉川 「IQってそういうもんじゃないだろ。なんだよ、使ってって」


藤村 「IQバトルで勝負だ!」


吉川 「初めて聞く概念! 少年マンガみたいな」


藤村 「いくぜ、IQパンチ!」


吉川 「痛いな。ただのパンチだろ。脳を一切使ってない暴力」


藤村 「違うね。これはIQパンチだから普通のパンチよりダメージがある。消費IQは20」


吉川 「消費するの? IQを? MPみたいな概念として捉えてる?」


藤村 「ほら、お前も出せよ」


吉川 「もってないよ。IQの技は。どこで習得するんだよ、それ。別に使いたくもないけど」


藤村 「やっぱりIQの低いやつはダメだな。とどめのIQドライバーを食らわせてやる。これはIQを40も消費するが食らうと二度と立ち上がれない恐ろしい技」


吉川 「そんな恐ろしい技を食らわせてくるなよ。どんな理屈かわからないけど」


藤村 「ふふふ。こうして腕を……。あれ? どうやるんだっけな? 足をこっちだったっけな?」


吉川 「あやふやじゃねーか! つきあわされるこっちの身にもなれよ」


藤村 「あれ? さっきまでできてたのに」


吉川 「IQパンチで20消費したせいでバカになっちゃってんじゃないか」


藤村 「しまったー。急いでIQを補給しなきゃ」


吉川 「そういうことできるの? IQって全然そういうシステムじゃないはずだけど?」


藤村 「この問題が解けたらIQ120以上とかの問題を解かなきゃ」


吉川 「それで回復するの? そもそも累積するものじゃなくない? 勝手に新しいルールを作ってるな」


藤村 「ちくしょうー!」


吉川 「どうした? 難しくて解けなかったか?」


藤村 「どのボタンを押せばSNS見れるのか全然わからねぇ!」


吉川 「思ったよりバカになってるな。二度とIQバトルしないほうがいいぞ」



暗転


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