知ってる?

吉川 「おわー、久しぶり!」


藤村 「久しぶりだね~」


吉川 「え、いつぶり? 卒業してから会ったっけ?」


藤村 「会ってない。だから卒業して飲んで、それ以来」


吉川 「そうかー。すごい久しぶりだな。なんかお前老けたな」


藤村 「そりゃそうだよ。みんなそう。あ、知ってる? 板ッチョと大杉さん結婚したの」


吉川 「あー、聞いた聞いた。まああいつらは付き合ってたし、するだろうなとは思ってたけど」


藤村 「あ、知ってたか。そうか。じゃあ、あれは? コマン」


吉川 「駒田さん? どうかしたの?」


藤村 「なんかすごい偉くなったんだって。CEOとかで」


吉川 「まじで? 全然知らなかった」


藤村 「知らなかったでしょ? あれは? 飯野っち」


吉川 「飯野っち懐かしい! なにしてんの?」


藤村 「爆買い。一昨日、コストコに行って」


吉川 「へ、へぇ? え? 最近会ったの?」


藤村 「いや、会ってはいないけど。めちゃくちゃ買ったって」


吉川 「あ、そうなんだ」


藤村 「飛田は? 知ってる?」


吉川 「なにかあったの?」


藤村 「スラムダンクめちゃくちゃ良かったって! すげえ褒めてた」


吉川 「あ、そうなんだ。映画の? 飛田さんが?」


藤村 「そう」


吉川 「へー。え? 会ってるの?」


藤村 「いや、俺もあれ以来だよ」


吉川 「よく知ってるね」


藤村 「まぁ、なんとなく耳に入ってくるから。ヤマサンのは知ってる?」


吉川 「あ、それあれじゃない? 海外行ったってやつでしょ?」


藤村 「違う違う。それは大分前に帰ってきてて、で、昨日スーパー行ったら刺身の盛り合わせが半額だったから買ったって」


吉川 「すごいプライベートな情報だな。その情報どこから来るの?」


藤村 「いや、なんとなく」


吉川 「なんとなくで知れる? SNS?」


藤村 「え、ヤマさんSNSやってんの? 繋がってる?」


吉川 「違うのか。違うのなら余計に怖いな」


藤村 「あと吉川」


吉川 「うん。え? 俺?」


藤村 「健康診断で肝臓の数値悪かったじゃん?」


吉川 「うん。悪かったけどなんで?」


藤村 「肝硬変。まじでなりかけてる」


吉川 「その情報をなんでお前が知ってるの? 俺もかかりつけの医者も知らない情報を」


藤村 「なんとなくかなー」


吉川 「なんとなくじゃないだろ。そういう情報じゃないじゃん。本人も知らないんだから。出どころちゃんと言えよ」


藤村 「あと梅田さん」


吉川 「いや、梅田さんの話はいいんだよ。俺の健康状態をなんで知ってるんだよ」


藤村 「アメリカ大統領になったらしいよ?」


吉川 「え? なに? どういうこと? 梅田さんが? え、違くない?」


藤村 「なったんだって」


吉川 「だってアメリカ大統領って今は、バイデン。って。え、あれ梅田さんなの?」


藤村 「らしいよ?」


吉川 「どういう情報なんだよ! 信じていいのかもわからないよ。不思議な情報ばかりで何も飲み込めない。情報経路はどうなってるんだよ」


藤村 「なんとなくで」


吉川 「納得行くかよ! なんとなくで。FBIだってそんな情報持ってないだろ!」


藤村 「あとコベヤンいたじゃん?」


吉川 「もうなんか聞くのが怖い。コベヤンどうしちゃったの?」


藤村 「ゴリラだったらしいよ?」


吉川 「意味がわからなすぎるよ。ゴリラじゃなかったよ、俺が会ってた頃のコベヤンは」


藤村 「本当はゴリラだったんだって」


吉川 「本当はゴリラなの隠せる? 気づかなかった俺たちも相当じゃない? それを聞いて微塵も腑に落ちないんだけど。何その話? 嘘ならもう嘘でいいから、ちゃんと初めから話して」


藤村 「本人も気づいてなかったのかもね」


吉川 「そういう問題じゃなさすぎるだろ。俺って意外とおっちょこちょいだったんだな、みたいなノリでゴリラだったんだなってならないよ?」


藤村 「あとお前と会ってる藤村だけどさ」


吉川 「お前だろ! まさにお前のことだろ! 目の前の!」


藤村 「そんな人物はいなかったみたいだよ……」


吉川 「怪談みたいな話にするなよ! あれ? どこいった? おい!?」



暗転

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る