NotY

藤村 「今年のニンジャ・オブ・ザ・イヤーは……、吉川さんです!」


吉川 「やぁ、どうもどうも。ありがとー!」


藤村 「吉川さん、なんと3年連続の受賞ですがお気持ちはいかがですか?」


吉川 「さすがに今年はないかなーと思ってたんですが、嬉しいです」


藤村 「素晴らしいご活躍で、諜報や破壊工作、はては暗殺まですべての活動が評価されておりますが」


吉川 「そうですね。今年は例年に比べて重要度の高い任務は少なかったのですが、その分複雑な要求が多くて、その辺りが評価されたんじゃないかなと思ってます」


藤村 「3年連続となりますが、今のこのお気持ちを誰に伝えたいですか?」


吉川 「やはり共に死線を乗り越えてきた仲間たちに」


藤村 「もう今年は吉川さんがダントツで。ノミネートも一人だけということですが」


吉川 「そうなんですか。もっとライバルはいると思ったんですがね」


藤村 「他の忍者の方はやはり活動が知られておりませんので評価につながらなかったそうです」


吉川 「あ、そうなの? あれは? 去年一緒にノミネートされた」


藤村 「死にました」


吉川 「え? 死んだの?」


藤村 「当然ですよね。忍者なのに活動がバレてるんで、そりゃ殺されもします」


吉川 「あれ、そうなの? みんなバレてないってこと?」


藤村 「バレてないです。忍者ですから」


吉川 「だったらこのニンジャ・オブ・ザ・イヤーは何のためにやってるの?」


藤村 「バカをあざ笑うためですね」


吉川 「バカをあざ笑うためにこんな豪華な感じにする?」


藤村 「バカをあざ笑うのは忍者が一番好きなことですから」


吉川 「あぁ、そう」


藤村 「さて、ここでメッセージの方を頂いております。『名前を出したら殺す』これは任務を共にした仲間からですかね?」


吉川 「あ、仲間です」


藤村 「すごい嫌われてますね」


吉川 「でもあの、ちゃんと隠蔽してますよ?」


藤村 「その辺りはどうやらお仲間の方が密告しているようですね」


吉川 「なんでだよ、もうそれは仲間じゃないだろ」


藤村 「そう思います。仲間ではないんじゃないですか?」


吉川 「ドシンと直撃してきたな。それだけの事実ならまず整理する時間をくれよ。お前が断言するなよ」


藤村 「とは言え、ただ嫌われてるだけではニンジャ・オブ・ザ・イヤーを受賞するには至りません。やはりそれ相応の腕があってこそですから」


吉川 「だよね? それはそう。ヘタなやつにはこれだけ危険な任務を振れないもの」


藤村 「死んで欲しかったんじゃないですか? 上の人も」


吉川 「薄々考えてることを言わないでくれる? その推理はもうちょっとこっちで泳がせてよ」


藤村 「では吉川さん、来年のニンジャ・オブ・ザ・イヤーに向けての意気込みなどがありましたらお願いします」


吉川 「来年は、もう貰いません!」


藤村 「死んで?」


吉川 「いや、死んでじゃなくてよ。ちゃんとニンジャとして隠すから!」


藤村 「ではこの後も、上場企業の帳簿を略奪してくるそうですが、頑張ってください!」


吉川 「全部筒抜け! 俺だけ!」



暗転

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