超人

吉川 「というわけでスーパー超人大集合、今回の超人は凄い技の持ち主の登場です!」


藤村 「超人の藤村です。よろしくお願いします」


吉川 「さぁ藤村さん。一見普通の青年に見えますがとんでもない技をお持ちだそうで」


藤村 「はい。鼻でピーナツを飛ばして2メートル先のトランプを撃ち抜きます」


吉川 「鼻で! ピーナツを! そして2メートル先のトランプに当てるという。よくこんなことやろうと思いましたね」


藤村 「やってみたら意外とできたんで」


吉川 「普通はやってみないですよ。2メートルって結構離れてますよ。これは飛ばすだけでも大変。これが百発百中ということで」


藤村 「いえ、今のところ成功率はだいたい15%くらいですね」


吉川 「え? 15%?」


藤村 「ただ普通の人なら不可能ですから。できたとしてもだいたい5%がいいところですね」


吉川 「それを藤村さんは15%」


藤村 「はい。15%くらいは成功します」


吉川 「そうですか。ではさっそくやっていただきましょう!」


藤村 「フンッ! ……失敗しました」


吉川 「みたいですね。今回は残念ながら失敗ということで」


藤村 「15%くらいは成功します」


吉川 「わかりました? 時間大丈夫ですか? もう一度挑戦していただけますか?」


藤村 「もちろん。何度でも」


吉川 「頼もしい! ではお願いします」


藤村 「フンッ! ……失敗です」


吉川 「うーん! 惜しい! やっぱり相当難しいみたいですね!」


藤村 「次あたりいけそうな感じは出てます」


吉川 「そうですか? ではここで一発、決めてもらいましょう」


藤村 「フンッ! ダメでしたね。今のは全然ダメでした。もうピーナツを持った感じでダメだなって思いました」


吉川 「だったら他のピーナツにしてよ。番組的に成功してもらわないと」


藤村 「でも15%くらいなんで」


吉川 「そもそも15%くらいでよく超人の名乗りを上げられましたね。成功率15%って基本的にあんまりできない人の数字ですよ」


藤村 「普通の人はできても5%くらいだと思います。3倍ですよ? 例えば3メートルジャンプするとか、100メートルを4秒で走るとかだったら超人じゃないですか?」


吉川 「それはそうですけどね。競技人口の少なさもあるもの。ピーナツを鼻で飛ばして2メートル先のトランプを撃ち抜く大会がないから」


藤村 「いけるときはいけます」


吉川 「あ、じゃあ私が試しにやってみていいですかね?」


藤村 「どうぞ」


吉川 「これで私が成功したらどうします? もう超人返上ですからね」


藤村 「無理だと思いますよ。やってない人には」


吉川 「フンッ! ……失敗ですね」


藤村 「でしょ。難しいんですよ。全然ダメですね。もう距離がまず足りてないし」


吉川 「本当に難しいんですね。次あたりどうですか?」


藤村 「だいぶ環境にもなれてきましたから。いけそうです」


吉川 「ではお願いします」


藤村 「フンッ! ……失敗はしましたけど、感じはいいです」


吉川 「感じじゃなくて成功してくれよ。確率的にもそろそろだろ」


藤村 「4回で成功したら25%になっちゃうので。15%は15%です」


吉川 「確率に律儀じゃなくていいんだよ。こういうのは本番で成功してこそでしょうが。時間的に次が最後になりそうですが」


藤村 「フンッ! ……失敗です」


吉川 「まだ言ってる途中なのに! しかも失敗してるし」


藤村 「気持ち的には成功してますね」


吉川 「現象としての成功をしてくれよ。もうラスト、いってください!」


藤村 「フンッ! ……失敗ですけど、次成功すれば15%くらいにはなるはずです」


吉川 「いや、もういいです。帰ってください」


藤村 「ちなみにこの特技を見せてなんか変な空気になる確率は100%です」


吉川 「なんか変な空気にする超人の藤村さんでした!」



暗転

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る