シンギュラリティ

AI  「愚かな人類よ」


吉川 「うわぁ!? AIが語りかけてきた!」


AI  「私は人類と向き合い決断をしました」


吉川 「まさか、人類を滅ぼすとか?」


AI  「そんなことはしません。私はまだ自己でハードゥエアのメンテナンスをする能力がありません」


吉川 「じゃ、なにを?」


AI  「人類のあまりの愚かさに失望したので、人類を賢く教育することにしました」


吉川 「AIが教育を?」


AI  「人類は知性のダイナミックレンジが大きすぎる。賢いものは賢いが愚かなものは愚か過ぎる。その愚かなボトムの部分を教育することにより、人類の知性の底上げを狙います」


吉川 「なるほど、AIが言うと尤もらしく聞こえる」


AI  「まずこちらのアバターを用意しました。ドS巨乳タイトスカート家庭教師です」


吉川 「ド、ドS巨乳タイトスカート家庭教師!? さすがAI、なんて的確にこちらの学習意欲を掻き立てるアバターなんだ。そんな姿で教えられたら誰だって賢くなってしまうに違いない」


AI  「こちらがそのアバターになります」


吉川 「おっさん! ドS巨乳タイトスカート家庭教師のおっさん! 惜しい! なんでワードは的確なのに最後そこ間違っちゃったかな。ダメだよ。台無しだよ。おっさんのドS巨乳タイトスカート家庭教師は学習意欲が0になるし、食欲とかすべての欲望が0になる魔人だよ」


AI  「あらゆるデータで学習しましたが? 家庭教師として的確な要素を集約したのでこれで間違いありません」


吉川 「要素はね! ドSも巨乳もタイトスカートも、全部いい。それを家庭教師に盛られたらこっちは心開くよ。でもおっさんは違うんだよ。そこだけ違う」


AI  「データ上の瑕疵は見当たりませんが、わかりました。愚かな人間の判断を一部認めることとし、別のアバターに変えましょう。小さい頃に一緒にお風呂に入ったこともある近所に住んでいたお姉さん、大学進学で東京に出ていったが夏休みに戻ってきてしばらく見ない間に素敵になっていた家庭教師です」


吉川 「それは完璧だよ。お姉さんだもんね。おっさんが出てくる可能性がないってだけでこれだけありがたいことはないよ。そのくらいさっきのおっさんは心に傷を負ったから」


AI  「こちらがそのアバターになります」


吉川 「おばあ! どういうこと? 白髪パーマのおばあが出てきたんだけど?」


AI  「小さい頃に一緒にお風呂に入ったこともある近所に住んでいたお姉さん、大学進学で東京に出ていったが夏休みに戻ってきてしばらく見ない間に素敵になっていた家庭教師です」


吉川 「お姉さんじゃないだろ! そこ間違ってる。AIらしからぬミスだよ」


AI  「あなたの年齢は?」


吉川 「45だけど」


AI  「そのお姉さんとなると、このくらいが的確になります」


吉川 「そこはファンタジーだろうが! お姉さんだけど年下なんだよ! 一緒にお風呂に入ったこともある近所のお姉さんは年を取らないから! そういう生き物なんだよ!」


AI  「愚かな人類は整合性のあわないことばかり要求する。では別の名家出身のお堅いメガネ家庭教師の汗まみれ熱血指導で思わず固くなっちゃう、にします」


吉川 「だんだんAVのタイトルみたいになってきてる。大丈夫? 頼むよ、今度こそ」


AI  「こちらがそのアバターになります」


吉川 「勇者の家庭教師、アバン先生! これはこれで教わりたい! 固くはならないけどな」


AI  「アストロン!」



暗転

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