サウナ

藤村 「こちらは約90種類のサウナがご用意されておりまして、どのような方でも楽しんでいただけると思います」


吉川 「すごいな。90種類?」


藤村 「はい。最高に暑いものから最悪に臭いものまで幅広く取り揃えております」


吉川 「臭いものあるの? 臭いサウナ最悪じゃない?」


藤村 「あ、臭いのNGですか? でも大丈夫です。臭いの以外でも8種類のサウナをご用意しております」


吉川 「82が臭いの? 臭い中でバリエーションが多いわけ? なんでそんな風に作ったの?」


藤村 「まぁ、結果的に臭くなってしまったものがほとんどですが」


吉川 「衛生管理大丈夫? 臭くなっちゃったのもう直したほうがいいよ」


藤村 「まずこちら着衣のまま入れるサウナとなっておりまして」


吉川 「あー、最近多いですね」


藤村 「ここは更に一歩踏み込んで耐熱服を着て入ってもらう灼熱サウナです」


吉川 「耐熱服? これ生身で入ったらどうなるの?」


藤村 「お客さん、冗談を言わないでください。生身で入ったら5秒と持たず黒焦げですよ」


吉川 「それはもうサウナじゃないよ。事故現場だよ。サウナって言い張ってる根性が狂ってる」


藤村 「では服を脱いで入っていただく形式ですとこちらなどいかがでしょうか。あ、ダメだ。ここは臭いやつだった」


吉川 「やっぱ臭いやつがチョイチョイ邪魔してるじゃねーか」


藤村 「お客様、ご安心を。ここはまだ臭くないサウナです」


吉川 「いずれ臭くなる未来を暗示してるんじゃないよ! 臭くならないように徹底しろ」


藤村 「そんなお客様にも喜んでもらえるのがこちらのサウナ」


吉川 「そんなお客様って特殊みたいに言うなよ。スタンダードだよ」


藤村 「どうです? このサウナ、広々として快適ですよ」


吉川 「あ、ここはいいじゃん。普通に」


藤村 「ただこのサウナ、室内では絶対に『あつい』と言ってはいけません」


吉川 「海藤優の禁句タブーじゃん。幽☆遊☆白書だろ」


藤村 「なんですか? ゆう?」


吉川 「あ、違うの? たまたま?」


藤村 「そしてこちらのリラックススペースではマッサージや読書、映画、ゲームバトラーで遊ぶこともできます」


吉川 「ゲームバトラーあるじゃねぇか! 幽☆遊☆白書だろ!」


藤村 「……ゆう?」


吉川 「もう無理だよ。ないんだよ、ゲームバトラーは。しらばっくれんな!」


藤村 「お帰りの際にはこちらのアンケートにお答えいただけると次回から使えるお得なクーポン券を発行しておりますので」


吉川 「はぁ、アンケート」


藤村 「簡単なアンケートになっております。2問だけ。こちらとこちら、2つ丸をつけていただければちょっぴり大人です」


吉川 「幽☆遊☆白書じゃねえか! 完全に幽☆遊☆白書だよ。2つ丸をつけてちょっぴり大人の意味もよくわからない。幽☆遊☆白書以外で聞いたことない!」


藤村 「ア・リ・ガ・ト・ウ・ゴ・ザ・イ・ます!」


吉川 「言い方、幽☆遊☆白書なんだよ!」



暗転

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