デッキ
吉川 「久しぶりだな、ウィンドライダー藤村」
藤村 「ミリオンソルジャー吉川か。その名前で呼ばれるのは久しぶりだ。今はそう名乗ってないんでな」
吉川 「ウィンドライダー藤村じゃないのか? あの高速デッキを操ることでおなじみの」
藤村 「そのデッキはもう捨てた。さらなる高みを目指すためには自らを変化させ続けなければいけない」
吉川 「あれだけの勝率を誇ったデッキを自ら捨てただと!? ということは今のデッキ構成は更に強いということか?」
藤村 「その通り。今度のデッキは名付けてシルバー・デッキ。この俺はシルビア藤村だ!」
吉川 「シ、シルビア!? シルバー使いだからシルビア? 全然格好良くないけど大丈夫か?」
藤村 「え? 格好いいだろ? 外人の名前みたいで」
吉川 「シルビアにシルバー要素ないし。正直、急にどうしちゃったのかな? って心配になるレベル」
藤村 「嘘だろ……。いや、格好いい格好よくないは主観の問題だから。お前が格好よくないと思ってても世間は違うかもしれないから」
吉川 「客観的に見て相当格好悪いと思うよ」
藤村 「うるせーな! いいんだよ。シルビア藤村で。肝心なのはデッキなんだから」
吉川 「シルバーならメタリックなんて二つ名でいいんじゃない?」
藤村 「メタリックはゴールド・デッキの人もいるから混同するだろ」
吉川 「なるほど、シルバーということは、おじいちゃんがメインのデッキなわけか」
藤村 「そんなわけねーだろ。なんだよおじいちゃんて。おじいちゃん軍団でどう勝負しようって言うんだよ。そういう意味じゃなくて文字通りのシルバーだよ。銀だよ銀!」
吉川 「あー、銀を多めに配したデッキ構成なのか。なるほどね。それ俺だったらギャラクシー吉川って名乗るな」
藤村 「なんだよギャラクシーって! 宇宙じゃねえか。全然宇宙要素ないだろ」
吉川 「ギャラクシーは銀河だから。銀が大河のように押し寄せるという意味を込めて」
藤村 「……なにそれ。格好いいじゃん。なんで今そういう事言うの?」
吉川 「だってシルビア藤村は死ぬほど格好悪いから」
藤村 「シルビアだって一生懸命考えたんですけど! なんであとからそんなもっといい感じのやつ出すの? つまりそれを使っていいってこと?」
吉川 「いや、お前はシルビアだろ? シルビア藤村www」
藤村 「ギャラクシー藤村ですけど」
吉川 「いや、ギャラクシーじゃないよ。シルビアだよ。シルバー使いのシルビア藤村。格好いい! 傑作!」
藤村 「やめて。ギャラクシー使わせて!」
吉川 「使いたいの? シルビアはどうするの?」
藤村 「シルビアと交換で一つ!」
吉川 「いや、別にシルビアはいらないよ。ご不用になった二つ名を回収してる業者じゃないんだから。いらないならその辺に捨てなさいよ」
藤村 「ギャラクシーいいの?」
吉川 「どうしても使いたいんでしょ?」
藤村 「だって。格好いいじゃん」
吉川 「じゃ、いいよ。ギャラクシー使って」
藤村 「本当? ありがとう。俺の名はギャラクシー藤村。デッキはシルバーだ! 勝負だ、ミリオンソルジャー吉川!」
吉川 「いくぜ! 先手、7六歩!」
藤村 「後手、6四銀!」
吉川 「最序盤からなんて圧力を加えてくるんだ、シルバー・デッキ!」
藤村 「歩のところが全部銀将なんだぜ!」
吉川 「思ったんだけど、普通にそれは将棋じゃないな」
暗転
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