選挙

藤村 「バッキャーロー! 選挙はそんな風に人を苦しめるためのものじゃない! 選挙は人に夢を与えるものなんだ。お前に選挙の本当の楽しさを思い出させてやる。俺と選挙バトルで勝負だ!」


吉川 「せ、選挙バトル!?」


藤村 「そうさ。選挙バトルは選挙をより楽しむためにエレクション博士が開発した大人から子供まで楽しめる選挙ムーブメントさ。この選挙ゴーグルをつければARで相手の選挙力が見えるって寸法さ!」


吉川 「なんかコロコロコミックのマンガみたいな展開になってきた」


藤村 「な、なんだって!? 5万選挙パワーだと! こいつは強敵だぜ」


吉川 「ボク、5万選挙パワーだったんだ。全然自覚なかったけど。ちなみにそっちはいくつなの?」


藤村 「俺の選挙パワーは37だ」


吉川 「37? 37万ってこと?」


藤村 「ただの37だ。だけど負けやしないぜ!」


吉川 「37が5万に勝とうとしてるの? 無茶が過ぎない?」


藤村 「そんなことないぜ、選挙パワーだけで選挙バトルが決まるわけじゃない。知恵と勇気、それこそが選挙バトルの醍醐味さ」


吉川 「そうなんだ。ルールがまったくわからないから見てるしかないけど、楽しそうな感じだな」


藤村 「まずはファーストドロー! 俺の選挙アクションは『過去の発言で炎上!』ちくしょう、選挙パワーが半分の19になっちまった!」


吉川 「悲しい展開になってきた。大丈夫か?」


藤村 「なーに、ここからさ! 選挙バトルで一番いけないのは諦めることさ。諦めなければ必ず、民意がわかってくれる!」


吉川 「いや、諦めない泡沫議員が当選したって話は聞いたことないけど」


藤村 「そして俺のセカンドドロー! こいつが勝負の鍵だ! 俺の選挙アクションは『対立候補が元アイドル!』なんてこった。俺の選挙パワーはもう4だ」


吉川 「大丈夫か? こっちは5万だけど」


藤村 「絶体絶命だ。だけど俺は誓ったんだ。選挙バトルでてっぺんを目指して、いつか世界を平和にするって!」


吉川 「その夢のためなら選挙バトルじゃなくて本物の選挙にでればいいのに」


藤村 「よし、俺のラストドロー! こいつにすべてを賭ける! きらめけ俺の選挙ポスター! 轟け俺の選挙カー! 俺の選挙アクションは『過去の発言で炎上!』だ」


吉川 「またかよ。過去のひどい発言多すぎだろ。そんなやつが選挙出るなよ」


藤村 「はい、やめやめ。やってられるかこんなクソ!」


吉川 「さっき絶対に諦めないとか言ってたくせに」


藤村 「つきあってられませんわ。こっちだって暇じゃねーんだよ。バカにしやがて!」


吉川 「勝手にやり始めたくせにメチャクチャ感情的にディスるなぁ。平和のためとかいう夢はなんだったんだ」


藤村 「そうさ。俺は平和を勝ち取らなきゃいけない。そうだ、平和バトルで勝負だ!」


吉川 「またかよ。なんだよ、平和バトルって。平和なのかバトルなのかどっちなんだよ」


藤村 「この平和メガネをつければARで相手の平和タイプが表示されるのさ」


吉川 「またそれかよ。最近のガジェットはだいたいそれなんだ?」


藤村 「な、なんだって!? まさか、お前の平和タイプは……」


吉川 「また5万なの? 全然よくわかってないけど」


藤村 「タンヤオ狙いだなんて!」


吉川 「麻雀かよ!」



暗転

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