Z世代
吉川 「本日はZ世代代表として藤村くんに来てもらってます」
藤村 「よろしくお願いします」
吉川 「いやぁ、若いね。今いくつになるの?」
藤村 「あ、18です。よろしくお願いします」
吉川 「18! 若いなぁ! じゃあ最近興味のあることとか教えてもらえますか?」
藤村 「はい! 爪の間の黒いのをシャーペンの先で上手いこと削いでいって集めて匂いをかぐことですね」
吉川 「……そうですか」
藤村 「これはもうZ世代全員やってます」
吉川 「全員が? もっと楽しいこととかあるんじゃないですか? Tik-Tokとか」
藤村 「あー、一応そういうのもありますけど。それよりツバをつけて高速でこすったあとにすげー臭くなったのを嗅ぐことの方が流行ってますね」
吉川 「いやぁ~、意外とそうなんですね。好きな食べ物とかは?」
藤村 「ワニ肉ですね。圧倒的に。みんな好きです」
吉川 「ワニ肉が? Z世代全体で?」
藤村 「みんな食べてるんじゃないですかね。もう流行ってるって言うより普通に食べる感じになってるので」
吉川 「あ、そうなんだ。全然知らなかった。意外だなぁ」
藤村 「あとダチョウですかね。肉も良し卵も良し、これは嫌いって人見たことないな」
吉川 「オーストラリア人みたいな食生活ですね」
藤村 「ほぼそうですね。逆にオーストラリアにはZ世代しかいないんで」
吉川 「いや、いるでしょ。それはまかり通らないと思うよ」
藤村 「あ、知ってるんですか?」
吉川 「いやいや、だってオーストラリアにはいるでしょ、いっぱい。おじいさんとか、おばちゃんとか」
藤村 「へぇ、知ってるんですね」
吉川 「あれかな、やっぱり環境などへの関心が全体的に高いってことかな?」
藤村 「そうですね。人間の住みよい環境に近づけるために、できる限り自然は破壊していくべきですね。環境のことを言ってるのって結局人類しかないんで。そこは独善的になるべきだと思います。どれほど虫や植物に適した環境でも人間が住みづらければそこは最悪の土地ですから」
吉川 「思ったより思想が強めだな。ではZ世代から見て、年上の世代の人たちってどう思いますか?」
藤村 「それぞれ個性の違う人間をZ世代だと乱暴にまとめて結局『若いなぁ』程度のクソみたいな感想しかでてこない哀れな人間を見て、年をとってもああいう人間にだけはなりたくないなぁと思いますね」
吉川 「……はい。それは申し訳なかったね」
藤村 「違います違います。吉川さんのことじゃなくて。全体的にやっぱりそういう人って多いので」
吉川 「あぁ、そうですか。ボク自身も自戒を込めて気をつけようと思います。さてZ世代の方々は社会問題などに対する関心が高いと言われてますが、実際はどうでしょうか?」
藤村 「もちろん、考えに関しては個人個人のものであって世代で分けられるものではないと思ってます。環境に関しても興味があって考える余裕のある人は考えてるでしょうし、考えていないからと言ってその人の状況や立場もあるわけで、この世代だからこういう傾向があると決めつけたがるバカな世代ではないことは確かですね」
吉川 「あれかな? 結構、気に触るようなこととか聞いちゃったかな?」
藤村 「そんなことないですよ! こっちもどうせその程度だろうと思ってましたし、バカの割には頑張ってると思います」
吉川 「よくないな、そういう言い方。もちろんこっちにも非はあるけど、あんまり他人をバカにするもんじゃないよ」
藤村 「すみませんでした。なにせZ世代は何もモノがわかってないものですから。考え方も行動も全部間違ってるんです。反省してます。Z世代以外の人が全員正しくてZ世代は全部間違ってます。今日はそのことだけを言いに来ました。ありがとうございました。あと本当はワニ肉もダチョウも食べません」
吉川 「新しい批判の型で来たなぁ」
暗転
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