キメ台詞

藤村 「やはり大切なのはコツコツやること。塵も積もれば、ということですね」


吉川 「そうです。山となります」


藤村 「塵も積もれば山となる。大事なことですね、まさに吉川さんを表したような言葉です。とは言えなかなか難しいことで、そのあたりも有言……?」


吉川 「……?」


藤村 「有言実……?」


吉川 「行?」


藤村 「有言実行されるという! さすが頼もしいお言葉。言葉の一つ一つに重みがありますね。その強い精神性はまさに石の上にもさん……」


吉川 「年!」


藤村 「石の上にもさんざん座っていたというね」


吉川 「あ、違ったのか。恥ずかしい。クイズ形式なのかと思っちゃった」


藤村 「すみません、紛らわしいことをしてしまいまして。では気を取り直して。やはり吉川さんにとっては発する言葉一つ一つが金科?」


吉川 「え?」


藤村 「金科玉?」


吉川 「キンカギョク? いや、知らないですね。その言葉」


藤村 「金科玉ジ?」


吉川 「ジ?」


藤村 「ョ?」


吉川 「ヨ?」


藤村 「ウ?」


吉川 「ウ?」


藤村 「なるほど! 金科玉条ということですか」


吉川 「あ、知らなかったです。その言葉」


藤村 「さすが吉川さん。知識の枠を超えて理念を持ち続けるという。やはりお気持ちととしては常にやればでき?」


吉川 「……?」


藤村 「やればでき……?」


吉川 「それはもう『る』しかないでしょ。『ない』って言ったら台無しになっちゃうし」


藤村 「やればできる。その信念を改めて聞くと私どもも身が引き締ま……?」


吉川 「る!」


藤村 「身が引き締まる思いです。さて吉川さん、これまで様々なご苦労があっ……?」


吉川 「た!」


藤村 「はい。ご苦労があったでしょうが。これからにつきまして」


吉川 「ちょっと待ってください。なんささっきから急に難易度落ちてません?」


藤村 「いえ? なんのことです?」


吉川 「俺がキンカなんとか知らなかったから。バカでもわかる用の簡単なやつに切り替えたでしょ」


藤村 「そんなことありま……?」


吉川 「す! あります、でしょ?」


藤村 「ありま……?」


吉川 「いや、『せん』って言わせたがってるけど、あるでしょ。バカだと思ってるでしょ」


藤村 「バカだと思ってなんていま……?」


吉川 「す、だよ。そこは『す』だよ。というかその言葉自体がバカだと思ってるだろ」


藤村 「能ある鷹は……?」


吉川 「爪隠す、だよ。知ってるんだよ。そのくらいはわかるんだよ。っていうかキンカなんとかだけレベル高いだろ。日常で使わないだろ、その言葉。下ネタみたいな言葉だし」


藤村 「王政復古の……?」


吉川 「それは知らないっ! なにそれ、意味もわからない。前半の部分ですでに意味が一個もわからない。日本語、それ?」


藤村 「王政復古の大……?」


吉川 「大? 大がヒントってこと? 大逆転?」


藤村 「ということで、吉川さん貴重なお時間をありがとうござい……?」


吉川 「いや、わからないのもあるけどさ! なんだよ、使わないだろ。オーセーフッコは。どういう状況で使うんだよ」


藤村 「ありがとうござい……?」


吉川 「ました、だよ! ました!」


藤村 「以上、バカの吉川さんでし……?」


吉川 「た!」



暗転

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