音声案内

音声 「――それらに関するお問い合わせの場合は1を。オペレーターと直接お話をしたい場合は2を押してください」


吉川 「2、と」


音声 「考え直したい場合は1を。どうしてもオペレーターと直接話がしたい場合は2を押してください」


吉川 「2、と」


音声 「最後の警告です。やっぱり考え直したという時は1を。どうしてもオペレーターと直接話がしたい場合は2を押してください


吉川 「オペレーターのガードが硬いな。2だって」


音声 「オペレーターは大変多忙です。休む時間もなく働き続けトイレに行く暇さえも与えられません。そのことを踏まえてそれでもオペレーターを酷使したいという方は1を。どうしてもオペレーターと直接話がしたい場合は2を押してください」


吉川 「情に訴えてきた? それは会社がブラックなだけだろ。客に言わずに上司に言えよ。2だよ。2!」


音声 「ここまできたら引くに引けないという方は1を。血も涙もない冷血漢の方は2を押してください」


吉川 「オペレーターに繋いでくれないのかよ。なんだよ、選択の過程でちょっと罵倒が入ってるじゃん。2だよ」


音声 「そのような考え方になったのには粗悪な環境が影響しているのでは? カウンセラーに相談したいという方は1を。オペレーターと直接話がしたい場合は2を押してください」


吉川 「カウンセラー急に出てきたな。新キャラ出すくらいなら初めからオペレーターに繋いでくれよ。2だよ」


音声 「2を押したあなたは精神に不安を抱え社会的に問題のある人物と判断されました。オペレーターにはお繋ぎできません。またのご利用をお待ちしております」


吉川 「切れた!? え? どういうこと? 選択肢間違えたの? もう一度かけなきゃ」


音声 「――それらに関するお問い合わせの場合は1を。オペレーターと直接お話をしたい場合は2を押してください」


吉川 「2、と」


音声 「通りを歩いていると向こうから懐かしい人物が歩いてきました。挨拶をしますか? 挨拶をしない場合は1を。挨拶をする場合は4649を押してください」


吉川 「オペレーターは!? なんで心理テストみたいになってるの? するけどさ、4649と」


音声 「4を押したあなた。突然死の警告をする方はオペレーターにはお繋ぎできません。またのご利用をお待ちしております」


吉川 「なんで4しか認識されてないんだよ! お前が4649押せって言ったんだろうが! そこはちゃんと認識できるシステムにしてから言えよ。もう一回だ」


音声 「またあなたですか? 諦めて音声に従い入力する方は1を。まだオペレーター・チャレンジを続ける方は2を押してください」


吉川 「またってなんだよ。なんでこっちを認識してるんだよ。そもそもオペレーター・チャレンジに挑んでるつもりはないんだよ。人のオペレーターと話がしたいという思いをアトラクションにするんじゃないよ。2!」


音声 「洞窟を進んでいると縄に縛られたオペレーターが現れた。無視して探索を続ける場合は1を。オペレーターを助ける場合は2を押してください」


吉川 「昔のゲームブックみたいになってる。探索してるつもりはまったくないんだけど、オペレーターが目的だからここは2かな」


音声 「おおっと! 縄に縛られたオペレーターと思われたのはモルボルグレートだった。あなたは死んでしまった」


吉川 「切れた! なんだよ、モルボルグレートって! わかるだろ! どこの誰がモルボルグレートと縄に縛られたオペレーター間違えるんだよ! もう一回だ!」


音声 「――それらに関するお問い合わせの場合は1を。モルボルグレートと直接お話をしたい場合は2を押してください」


吉川 「モルボルグレートと!? オペレーターどこ行ったんだよ! モルボルグレートとの会話望んでないよ! 1を選ぶしかないか」


音声 「逃げられない! モルボルグレートはくさい息を吐いた」


吉川 「なんでー! 臭っ! なにこれ? くさい! なんでスマホから! ダメダメ、一旦かけ直そう」


音声 「モルボルグレートが現れた」


吉川 「なんでだよ! 固定エンカウントになってるんじゃないよ!」



暗転

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