ニセ

ニセ 「ヘヘッ。確かに俺は偽勇者だよ。考えても見ろよ、こんなモンスターだらけの世界で命をかけて切った張ったするなんてバカげてるぜ。だったら口先だけで民衆からチヤホヤされてる方がずっといい」


勇者 「なんて……。なんて頭がいいんだ!」


ニセ 「え?」


勇者 「俺もおかしいと思ってたんだ。なんでこんな辛い思いしなきゃいけないのか」


ニセ 「いや、あんたは辛い思いしてくれないと俺たちも旨味に預かれないから」


勇者 「そんなことない! 二人でデカく儲けようぜ!」


ニセ 「こっちに感化されたの? えらく自分が弱い勇者だな、そんなことで魔族の誘惑に勝てるのか?」


勇者 「魔族のやつ、力押しばっかりで全然精神攻撃みたいのをしてこないんだ! もっとこう、世界の半分をやろうとか交渉してほしいのに」


ニセ 「欲しいの? 交渉されたらどうするつもりなの?」


勇者 「IQ低いやつばっかりなんだよ。魔法使ってくるくせにバカ。基本的な教養がない。民度が低い」


ニセ 「すごい悪口言うな。それにまだ魔族なんて出てきたばっかりの種族だろ。教養とかを育てるにはそれなりに歴史や文化がないと」


勇者 「ほうほう? じゃ、伺いますがここの人間どもに教養ありますかね?」


ニセ 「人間どもって言い方気をつけよう? それ魔族よりの言い方だから」


勇者 「俺が死ぬ思いで、時には死んで戦ってるのに。普通に金を取るからね。どう考えてもサービスするだろ。勇者だぞ? その気になればお前ら一瞬で殺せるんだぞ?」


ニセ 「ちょっと発言が過激だな。そういうこと思ってても言っちゃいけないというか、思わないで欲しい。そもそも」


勇者 「自分たちが生きれてるのは、ただ単に俺が生きることを許してるからだと自覚して欲しい」


ニセ 「魔族感が強めだな。偽勇者やってるけど、本物の勇者がこれって結構引くわ」


勇者 「俺も今日から偽勇者で行く」


ニセ 「いや、ダメでしょ。どうするのよ。本物いなくなっちゃうじゃん」


勇者 「今まで本物がいたのに、誰も! 誰一人として! 感謝してないんだよ」


ニセ 「そんなことないよ。口には出さないかもしれないけどみんな感謝してる」


勇者 「口に出せよ! 若い娘とか差し出せよ!」


ニセ 「それはダメ。言っちゃダメ。どうした? 魔族に感化されすぎじゃないか?」


勇者 「誰にも感謝されず助けられもせず金だけたかられてボロボロになって、おかしくならないやつなんかいない!」


ニセ 「悪かった。それは俺たちが悪かった。大変だとは思ってたけど、ちょっと甘えすぎてた」


勇者 「しかも勇者は品行方正じゃないと変な噂が立つから、おっぱいの一つも揉まずにここまできたんだよ!」


ニセ 「辛かったな。それは辛かった。おっぱいの一つは揉みたいよな」


勇者 「そっちは揉んでたんでしょ?」


ニセ 「え? いや、俺の話はいいじゃん」


勇者 「揉んでたんでしょ? 一つと言わず、二つ三つ」


ニセ 「ま、まぁ。ないことはなかった」


勇者 「絶対偽勇者のほうが得じゃん!」


ニセ 「おっぱいだけで早まらない方がいい。俺も悪かった。迂闊だったよ。これからは気をつけるから」


勇者 「ほら、これ。勇者の証」


ニセ 「いや、ダメでしょ。もらえないですよ」


勇者 「これ取るために6回死んだから。すげぇ大変だったけど」


ニセ 「じゃあ持っておきなさいよ。あなたが勇者なんだから」


勇者 「違う、俺は偽勇者だ!」


ニセ 「あなたがニセって言い出したらもう色々わけわかんなくなっちゃうから」


勇者 「偽勇者だからおっぱいも揉むし、ムカつく市民は殺す」


ニセ 「そんなことしてないよ! ニセと言えど限度があるよ」


勇者 「俺はもう好き勝手するんだ! チヤホヤだけされて生きる。おっぱいも揉み放題だし」


ニセ 「違うよ? 別に揉み放題じゃないからね。そんな風に思ってたの? 偽勇者のこと」


勇者 「聞け! この街のものどもよ! 今すぐ俺に若い娘を差し出すのだ!」


ニセ 「くぅぅぅ。俺が……。俺が戦うしかないのか! ……はっ!? ひょっとしてこれってアレ? 俺を改心させるためにそういう演技で?」


勇者 「もうパンツも脱ぐ」


ニセ 「あ、違うわ、演技とかじゃないやつだ!」



暗転

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