インタビュー
吉川 「インタビュアーの吉川と申します。本日はよろしくお願いします」
藤村 「よろしく」
吉川 「さて早速ですが。今回約6年ぶりのニューアルバム発売おめでとうございます」
藤村 「ありがとう」
吉川 「そこでこのアルバムに対する思いのようなものをお聞かせ願えたらと思います」
藤村 「もちろんなんでも聞いてくれ」
吉川 「ではシングルで先行発売され現在ヒットを記録中の曲ですが、どうい思いを伝えようとされたのでしょうか?」
藤村 「逆に聞くけど、キミはこの曲を聞いてどう思った?」
吉川 「私ですか? 私は、あの、正しく受け止められてるかわからないんですが、藤村さんの今までのイメージを刷新するような、この閉塞感のある時代に希望を見せてくれるような感じがしました」
藤村 「まさにそれ」
吉川 「あ、そうですか」
藤村 「言いたいこと全部言われた。ちゃんと伝わったみたいで嬉しいよ」
吉川 「光栄です。そしてライブなんですが、ここ数年の時世などもあって予定されてたものも中止になってしまいました。それに対してはどのようなお気持ちでしょうか」
藤村 「逆にさ、キミはどう思った?」
吉川 「私はですね、あくまで客という立場でしかないのですが、今まで当たり前のようにあると思っていたものは極めて不安定なものでしかないということに気づきまして。そしてこれから見れるライブに対しても襟を正して全力で向き合わなきゃいけないなという気持ちを新たにしました」
藤村 「まさにそれ。全部言ってくれたね」
吉川 「そうですか」
藤村 「そうなんだよ。うちらもね、そういう気持ち大事だと思ってる。襟足を刈り上げないと」
吉川 「あ、はい。襟を正してですね」
藤村 「それ」
吉川 「では久しぶりの活動を心待ちにしていたファンの方々に対する思いなどはどうでしょうか?」
藤村 「逆に。逆にキミはどう思うのさ」
吉川 「私がですか? え? 私が藤村さんのファンに対して?」
藤村 「どう思う?」
吉川 「いや、どうって。まぁ、喜んでるんじゃないかなと思いますけど」
藤村 「それで?」
吉川 「それで? それで、そうですね。このアルバムを聞いて、今までの藤村さんにもこれからの藤村さんにも。その~、思いを馳せてもらえればな、と思います」
藤村 「イグザクトリー。まさにそう」
吉川 「本当ですか? これはあくまで私の気持ちなんで」
藤村 「全部あってる。最初から最後まで、一言一句」
吉川 「そうなんですか? 大丈夫ですか?」
藤村 「そういうものだから。伝わる時っていうのは全部ズドンと伝わっちゃうものだから」
吉川 「そういうものなんですか。さすが藤村さんと言うべきでしょうか。さて藤村さんの今後のご予定などをお聞かせ願えたらなと思います」
藤村 「リバース」
吉川 「はい?」
藤村 「リバース、つまり逆。逆にキミはどうなのかな?」
吉川 「え、私? 私の予定ですか?」
藤村 「どうなのかな?」
吉川 「それを聞いてどうするんですか?」
藤村 「つまりそういうことだから。全部ひっくるめてなんだよね。誰と誰、みたいな立場なんて関係ない。全ては繋がってるんだよ」
吉川 「え、でも藤村さんの今後のご予定の方は?」
藤村 「逆に?」
吉川 「私ですか? 私はこのインタビューを原稿にまとめて、今週は別件の取材があるのでそっちの資料を集めますね」
藤村 「まさにそれだよ」
吉川 「なにがですか?」
藤村 「俺の思ってたコト。通じてるね」
吉川 「え、いや。これは私の予定ですから。藤村さんは関係ないと思いますけど」
藤村 「そんなことない。同じ世界で生きる者同士、一緒なんだよ」
吉川 「でもそれだと藤村さんの今後の予定を楽しみにしてる人たちも何がなにやらわからなくなると思うんですが」
藤村 「それぞれ一生懸命やっていれば、交わるものだよ」
吉川 「そういう観念的なことじゃなくて。具体的にTVやラジオなどに出演の予定は?」
藤村 「逆の逆の逆に?」
吉川 「いえ、私はないです。私は呼ばれるようなこと何もしてませんから」
藤村 「それ。その言葉そっくりそのまま返すよ」
吉川 「なんで? どういうことですか?」
藤村 「伝わってるってことだよね」
吉川 「じゃこのインタビュー、私が感じたまままとめちゃって大丈夫なんですかね?」
藤村 「そこは一回チェック入れるよ」
吉川 「それはダメなのか」
暗転
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