善い心

吉川 「よぅ! 藤村」


藤村 「イイネ!」


吉川 「どうした? なにもいいことしてないけど」


藤村 「実は私は自らの中から悪しき心を追い払ったのです」


吉川 「つまりピッコロ大魔王みたいな?」


藤村 「さすがめちゃくちゃ察しが早い。ただピッコロ大魔王は追い払われた方。私は神の方です」


吉川 「そんなことできるんだ。ナメック星人でもないのに」


藤村 「頑張ったので」


吉川 「頑張ればできるんだ。精神論的なものなんだね」


藤村 「なので私は善き心のみの藤村となったのです。イイネ!」


吉川 「イイネ! ってやるのが善き象徴なのか。軽いな。ちなみに悪しき心の方はどうなったの?」


藤村 「そんなの関係ねーじゃん。知らねーよ」


吉川 「ええ……。善き心の割にあたりが強いな」


藤村 「どうせどこかで悪の粋を尽くしているんじゃねーの」


吉川 「そ、それでいいの?」


藤村 「良いも悪いも、それは悪い心の罪だから」


吉川 「結構淡白に切り替えるんだ」


藤村 「私は善いことしかしません!」


吉川 「そういうことってあるんだな。じゃ今日このままプロレス行くの無理かぁ」


藤村 「あ、それは大丈夫」


吉川 「大丈夫なんだ? 善き心なのに。デスマッチだよ?」


藤村 「いやぁ、楽しみだよね!」


吉川 「楽しんじゃっていいの? 血とか出るよ?」


藤村 「ワクワクするじゃん。心が躍るなぁ」


吉川 「善き心が? 血で? 本当に善いの、その心は?」


藤村 「私の善い心の善さ加減を疑うの? ぶち殺すぞ?」


吉川 「ぶち殺されるの? さっきから善良感が感じられないんだけど」


藤村 「あ! 見つけたぞ!」


吉川 「こっちからも藤村が!」


藤村 「吉川、そいつに気をつけろ!」


吉川 「大変なことになってきた。でも腑に落ちた気もする。つまりお前は、本当は悪い心なのに善い心と偽っていた悪い心の化身!」


藤村 「いや、そいつは本当に善い心だ。俺が悪い心」


吉川 「なんだよぉ~。すごい名推理顔しちゃったじゃんか。そもそも悪い心の癖にそんなフランクな感じに入ってくるなよ。ゲハハハハとか笑いながら来いよ」


藤村 「悪い悪い! ゴメンネ」


藤村 「イイネ!」


吉川 「ある意味わかりやすいけど、わかりにくいよ! 合体してもとに戻るとかできないの?」


藤村 「できるよ。合体!」


藤村 「合体!」


吉川 「あ、一人に戻った。釣りバカ日誌みたいなエフェクトで」


藤村 「ゲハハハハ。元に戻ったぜぇ!」


吉川 「元からそんな感じだったんだ」



暗転

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