黒幕
黒幕 「フフフフ……。ハーッハッハッハ! その通り、すべては私のシナリオ通りなのだよ」
吉川 「な、なんてこった」
黒幕 「その表情。それが見たかったのだ。かすかな希望を胸に何度も心が折れそうになりながらたどり着いた末の絶望。その表情こそ甘露である!」
吉川 「そうなんでもお前の考えどおりにいくもんか。これを見ろ!」
黒幕 「……なっ!? そ、それは!」
吉川 「ブラジャーだ」
黒幕 「気持ち悪っ! なに、いきなり」
吉川 「すべてはシナリオ通りと言ったな?」
黒幕 「言ったよ?」
吉川 「ということは、この俺が素敵なランジェリーをつけてくるというのもシナリオ通りってことだ。この変態!」
黒幕 「いや、そういうのはさ。全部具体的にしてたわけじゃないから」
吉川 「しかもこんな攻めたデザインの。めちゃくちゃ恥ずかしいぞ? ここに来るまで何度心が折れそうになったか」
黒幕 「それで折れそうになったの? それは自業自得だよ」
吉川 「すべてはシナリオ通りと言ったな? ということは、下もシナリオに書かれているってことだ」
黒幕 「下? 下って……」
吉川 「ショーツの話に決まってるだろ!」
黒幕 「ショーツって呼んでるの? おじさんなのに」
吉川 「シナリオ通りってことはこの俺のショーツの色も形もシナリオに描かれているということだ。さぁ、一体どんなものが描かれてる!」
黒幕 「それはシナリオの中でもどうでもいい部分というか末端の葉っぱにすぎないもん。もっと幹の話をしてるんだよ」
吉川 「お前が何を思い描こうと、俺はランジェリーの話しかしない! それもシナリオに描かれてるはずだ」
黒幕 「えー。バカなんじゃないの。ランジェリーの話しに来たの?」
吉川 「おや? 焦ってるのか? すべてシナリオ通りじゃなかったのか?」
黒幕 「そうだけどさ。そうだけど……」
吉川 「どうやら思い描いていたシナリオが崩壊したようだな」
黒幕 「それは認めたくない。そんなランジェリー持ち込まれたことで崩壊認定されたらこっちもたまったもんじゃないよ」
吉川 「どんなにお前の力が強大だろうと、全て思い通りにいくと思ったら大間違いだ。人の未来は未知数。可能性は無限にある!」
黒幕 「その論理の根拠がランジェリーでいいの? 決めれば決めるほど恥ずかしいよ?」
吉川 「お前はこの期に及んでまだ自分の思い通りになると思ってるのか?」
黒幕 「そうだ。お前が何をしようと、そんなものは誤差に過ぎない。私の計画が狂うことはない」
吉川 「これを見てもそんなこと言えるか?」
黒幕 「またなんか出すの? やめてよ、気持ち悪い」
吉川 「黒幕~♪」
男1 「黒幕~♪」
男2 「黒幕~♪」
男3 「黒幕~♪」
黒幕 「なに!? 誰っ!? どこから来たの?」
吉川 「いくぞ?」
男達 「おうっ!」
黒幕 「な、なにごとだ!」
吉川 「ハッピバ~スデ~トゥ~ユ~♪」
黒幕 「……え?」
男達 「ハッピバ~スデ~トゥ~ユ~♪」
黒幕 「なになに?」
吉川 「ハッピバ~スデ~ディア……」
全員 「く・ろ・ま・く~♪」
黒幕 「うそ、やだ!」
吉川 「ハッピバ~スデ~トゥ~ユ~♪」
黒幕 「なにもー。素敵ー!」
吉川 「おめでとー!」
男達 「おめでとー!」
黒幕 「なんだよ。もう、全然知らなかった。ビックリした~」
吉川 「どうやら計画にないことが起こったようだな」
暗転
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