デスゲーム

謎声 「ようこそ、我が領域へ」


吉川 「何だこの声は? 姿を現せ! 一体ここはどこだ!」


謎声 「諸君にはここであるゲームに参加してもらう」


吉川 「ゲームだと?」


謎声 「諸君らにはその部屋の中で殺し合いをしてもらう」


吉川 「なんてこった!」


謎声 「部屋の中で活動する生命が一つだけになったとき、次の部屋への扉が開く」


吉川 「なんで見ず知らずのやつと殺し合いをしなきゃならないんだ!」


謎声 「なお、逃げ出そうなどとは考えないほうがいい。こちらとしてはどちらの命が残ろうと構わないし、両方の命がなくなったところでなんの差支えもないのだから」


吉川 「非道すぎる!」


謎声 「それでは諸君らの健闘を祈る」


吉川 「まさかこんなデスゲームに参加させられるとは。いや、諦めるな。必ずなにか方法があるはずだ。俺の相手は? 俺の相手はどこだ? どこから来るんだ?」


謎声 「戸惑っているようだな。ちなみに協力して生き延びようとしても無駄だ。部屋には微量のガスが送り込まれている。1時間もすればその部屋にとどまっていた人間は呼吸もできなくなるだろう」


吉川 「あ。扉が開いた。そこから来るのか? 誰か来るのか? おい! 聞いてるか? 俺は戦うつもりはない!」


謎声 「そうだ。早速始まったようだな。さぁ、殺し合え!」


吉川 「おい! いるんだろ? 大丈夫だ。俺はなにもしない。まず話をしよう!」


謎声 「生き延びたくば目の前にいるものを殺すのだ」


吉川 「おい? あれ? いないの? 隠れてる? そっち行くぞ? いいか? いいのか? 行くぞ!? 行くからな!」


謎声 「どうやら早くも1つ目の部屋を突破した人物が現れたようだ。残りの者たちもうかうかしていられないぞ」


吉川 「あれ? 誰もいないのか? なに? どういうことだ?」


謎声 「自らの命のために他人の命を奪う。それは当たり前のことなのだ。誰しも無自覚に強者は弱者の血を啜っているのだ」


吉川 「……やってるの? みんな今やってるんだよね? 戦ってるんだよね? あの、誰もいないんですけど」


謎声 「残念だが諸君らに安寧の時はない。勝者はまた次の戦いへ、戦いの煉獄からは逃れられない」


吉川 「あのー! すみませーん。なんか一人部屋なんですけどー? 相手が来ない場合はどうなってるんですかね?」


謎声 「さぁ、殺し合え! 最後の一人になるまで!」


吉川 「これ聞こえてるのかな? すみませーん。殺す相手来ないんですけど。ちょっとおかしいみたいです。誰か話の分かる人いませんか?」


謎声 「呪うなら己の運命を呪うがいい」


吉川 「なんだろ? 来てくれればちゃんと殺す気はあるんですけど。なんか誰も来ないんですけど。これどうしたらいいんですかね? 待ちですか? 一旦待ち?」


謎声 「さらに次の部屋へ進むものも現れたか。諸君らの半数がすでに命を落としている。素晴らしいことだ」


吉川 「これ次の部屋行っていいんですかね? なんかズルみたいになってない? 殺すよ? ちゃんと来てくれれば。後で文句言われても困るんですけど?」


謎声 「対峙する相手はすでに手を汚した獣だ。解き放つのだ、本能を!」


吉川 「また一人部屋なんですけど。なにこれ? シードみたいになってるってこと? 俺だけ今の所不戦勝ってことになってるのかな。あの、そろそろ殺させてくれませんかね?」


謎声 「さぁ、最後の戦いだ。この部屋で生き残ったものだけが外に出られる」


吉川 「生き残るって、だからさっきから誰もいな……。あ! 人だ!」


藤村 「ハァハァ……。あなたが相手ですか?」


吉川 「そうだ」


藤村 「わー!」


吉川 「クソッ! なんて力で締め付けてくるんだ。ぶっ殺してやる!」


藤村 「なんでっ!?」



暗転

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る