してない

藤村 「期末の勉強全然してないわー」


吉川 「でたでた。そう言いながら結構してるんだよなー」


藤村 「本当。全然勉強してない。人類史上かつてこれほどまでに勉強してない人がいるのかというくらいしてない」


吉川 「人類史上にはもっといっぱいいそうだけど」


藤村 「なにもしてない」


吉川 「わかったよ。でも俺昨日結構寝ちゃったからさ」


藤村 「寝てないわー。全然寝てない」


吉川 「寝てないのに勉強もしてないの? 何してたんだよ」


藤村 「特に何もしてないわー」


吉川 「無? 無で寝てなかったの? それは逆にすごくない? 修行僧なの?」


藤村 「似たような感じだった」


吉川 「そっか。でも今日寒かったなぁ。さすがにコート着てきたよ」


藤村 「コートも着てないわー」


吉川 「コート着てないの? マフラーは?」


藤村 「着てないわー。なんも着てない」


吉川 「どういうこと? なんも着てないってことはないでしょ」


藤村 「ここに来るまで着てなかった」


吉川 「全裸で来たの? 本当に修行? 大丈夫? 寒かったでしょ?」


藤村 「少しも寒くないわー」


吉川 「雪の女王みたいなこと言い出したな。チャリでしょ?」


藤村 「チャリも乗ってないわー」


吉川 「歩いて?」


藤村 「歩いてもないわー」


吉川 「どうやって来たんだよ。怖くなってきたよ」


藤村 「何も怖くないわー」


吉川 「まどマギみたいなこと言い出したな。でも空気が冷たいからマスクがないと喉の奥がヒュッとするよな」


藤村 「吸ってないわー」


吉川 「そっち? マスクしてないわーで来るかと思ったんだけど。呼吸をしてないってこと?」


藤村 「一昨日からちょっとしか吸ってないわー」


吉川 「ちょっとは吸ってるんだ。さすがに。なんで我慢してるんだ」


藤村 「もう酸素もギリギリだわ」


吉川 「宇宙を舞台のハリウッド映画みたいなこと言うな。じゃ、した方がいいよ。止める意味わからないし。誰もそれを求めてないから」


藤村 「そんなことないわー」


吉川 「あるよ。頑なだな。周りのことは特に気にして?」


藤村 「気にしてないわー」


吉川 「よね? そうだと思った」


藤村 「的中してないわー」


吉川 「コンセプト変わってきてない? お前がしないことを宣言するのはいいけど、的中してるかしてないかはお前のジャッジじゃないじゃん? そこは公平にいかないと」


藤村 「……」


吉川 「俺はここまでお前の言うことを信じてきたんだからさ。信頼関係でやってきたわけじゃない? そこで変に否定されるとこっちも傷つくし良くないと思うよ。お互いに尊重してやっていこうよ」


藤村 「グウの音もでないわー」



暗転

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