変な

良子 「吉川さんて面白~い。すっごく話が合う」


吉川 「だよね。俺もこんな話し合う相手初めて。もう付き合っちゃうしかないかー、なんてね」


良子 「あはは。たのしー。そう言えば最近さ変な曲流行ってない? あのうっせーうっせーっての」


吉川 「あー、はいはい。俺も最初聞いた時さ、なんだこの曲って思ってさ。もう最近は音楽のレベルが……」


良子 「ねー。私もハマっちゃって。もう毎日歌ってる。いいよねー」


吉川 「……なぁ! 最近は音楽のレベルが高くて。本当に。最初はちょっと不思議に感じたけど聞いてたら全然いいんだよ。ビックリだよ」


良子 「あと変なマンガあるじゃない? ヤンキーが出てくるさ。タイムスリップするやつ」


吉川 「あれね。わかるわ。ヤンキーとか言ってさダサ……」


良子 「面白いよねー」


吉川 「……いいんだよね! 逆にいいんだよな! あれがな! 俺は連載当初から目をつけてたから」


良子 「あとアレ流行ってるじゃん。変なさ。アニメ。なんか変な鬼を斬るやつ」


吉川 「キメツでしょ? すごいよな。俺は映画もさ……」


良子 「グロくって見てられないんだよね。気持ち悪くない?」


吉川 「……ですよね! 俺は映画もどうかと思うんだ。あんなグロいのを子供に見せられるかというとね。俺はもう今は全然興味ないし……」


良子 「興味はあるんだけど」


吉川 「……ないっていうか、あるよね。興味はあるけど、やっぱり見るのが怖い? 的な? 心のハードルがさ」


良子 「吉川さん、本当に話し合うー」


吉川 「ほ、本当だよな。合うよ。今のところ全部あってるから」


良子 「あと変なパンあるじゃん? 真ん中にクリームがいっぱい入ってる。あれなんかさぁ」


吉川 「はいはい。マリトッツォ! 要するにあれはクリームパンだからね。わざわざ喜んで食べるような……」


良子 「美味しいんだよねー」


吉川 「……意義があるよね。わざわざ買って食べたいというか。もう俺なんか見かけたら買うようにしてるもん。マリトッツォどら焼きとかもあるから」


良子 「そこまではやりすぎだよねー」


吉川 「おっしゃる通り! 俺もどら焼きばかりは無視したわ。もう馬鹿にしてるのかと思ってね」


良子 「あと変なドラマ流行ってるじゃん? イカ? タコ? みたいな」


吉川 「わかる! ゲームね。俺の周りみんな見てるわ」


良子 「私見てないんだよねー」


吉川 「周りは全員見てるけど、俺だけ見てない。ドーナツ化現象。俺一人話題についていってないから。もうこうなったら死ぬまで見ないぞという勢い」


良子 「怖そうだから一人で見たくないんだよね」


吉川 「ほんまそれ! 一人だと死ぬまで見れない。けど二人なら? 二人で見るってアイデアいただき。これいいんじゃないの? 見てない同士で、どう?」


良子 「それいいかも。ちょうどよく見てない人いたらいいのにね」


吉川 「俺。まさに。それ! ドンピシャよ?」


良子 「じゃさ、吉川さんも誰か見てない人と一緒に見たら感想言い合おう?」


吉川 「あー。そういう。穴つくねー。システムの穴を巧妙に利用するねー」


良子 「だって変な人いるじゃん? なんか無理やり話し合わせてきて、気持ち悪い人」


吉川 「い……る~のかな? そういう人も。中には。ま、悪い人じゃないと思うんだけど。いるかなー」


良子 「うん。全然空気読まない人。早く帰ってほしいのに」


吉川 「いるよね。俺は違うけどね。俺はもう忙しいから。あ、帰らなきゃ。本当はもっと前に帰らなきゃって思ってたから。ここまでなんとか伸ばしただけで。じゃ、本当にこれで。またね」


良子 「えー。残念ー。さよならー吉川さん」


吉川 「本当にそれだよ。残念! いやぁ、やっぱ最後まで気が合うよねー」


良子 「それはないー」


吉川 「……だよね。ないよね」



暗転

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