ホワイトジャック先生
吉川 「先生! ホワイトジャック先生! お願いします」
白男 「私は金持ちの患者しか見ない」
吉川 「そこをなんとか! 先生じゃないとダメなんです」
白男 「それならば、これだけ用意してもらおう」
吉川 「指二本……! ということは、2000万……」
白男 「桁が違いますよ」
吉川 「なっ!? 二億!? いくらなんでもそれは」
白男 「6000です! これ以上はまけられません」
吉川 「ろっ!? 六? だって、今、指ニ本だったんじゃ……」
白男 「ピースサインです。平和と友好の印」
吉川 「なんで、脈絡もなくピースサインなんだ。しかし、6000万ですか。わかりました」
白男 「誰が万と言いました?」
吉川 「まさか!? 億? それはいくらなんでも」
白男 「六千円です! ダブルピース!」
吉川 「安い! しかもダブルピースの意味もわからない」
白男 「用意できるようなら診ましょう」
吉川 「そのくらいなら、別に……」
白男 「あ、先に言っておきますが、国民健康保険に加入していれば三割負担です」
吉川 「良心的!」
白男 「では、拝見……こ、これはっ!?」
吉川 「どうしたんですか!? まさか、もう無理なんじゃ……」
白男 「これは、骨折ではないっ!」
吉川 「えぇっ!?」
白男 「風邪だ! 詳しく言えば流行性感冒疾患」
吉川 「いや、誰も骨折なんて言ってないし。ビックリしたー。なんか、こっちまで、リアクションとっちゃったよ」
白男 「風邪を侮ってはいけない。中年の死亡者の実に十割が風邪を引いたことがあるというデータもある」
吉川 「そりゃ、風邪くらいひくでしょ」
白男 「打つ手なしだ……」
吉川 「ないのっ!? 風邪なのに」
白男 「早期発見なら、なんとかなったものの、ここまで進行していては……このままでは、もって300年」
吉川 「持ちすぎだろ! そんなに長生きできちゃうの?」
白男 「すぐにオペの準備だ!」
吉川 「手術するの!? 風邪なのに?」
白男 「しかし、吉川さん、本当にいいんですか? この手術で生き延びる可能性は0%」
吉川 「死ぬんじゃん! ほっとけば300年生きられるのに」
白男 「あとは、あなた身体の生きる意志に賭けるしかない」
吉川 「いや、風邪だったら寝てれば治るんじゃ」
白男 「素人のあなたは口をはさまないで頂こう」
吉川 「いや、はさむよ! 俺の命だもん」
白男 「ならば、いいでしょう。一つ賭けをしますか」
吉川 「賭け……いったいどんな」
白男 「今年の紅白、どっちが勝つか」
吉川 「また唐突な話だな。その前に風邪治っちゃうよ」
白男 「私が勝ったら……いいでしょう。娘はくれてやる」
吉川 「いらないよ! なんで、あんたの娘を突然貰わなきゃいけないんだ」
白男 「ブサイク小町と有名な娘です」
吉川 「どんな小町だよ。陰口じゃないか」
白男 「それでも命を賭ける覚悟があると?」
吉川 「ないよ! だいたいなんだ。あんた、ヤブ医者なんじゃないか?」
白男 「確かに、私は無免許だ。しかし、腕だけは確かです」
吉川 「本当かよ。なんか、すごい嘘っぽい」
白男 「そう言うことは、このメスさばきを見て……イタッ! 指切っちゃった」
吉川 「もう全然ダメじゃん。下手にもほどがある」
白男 「どうしよう。血がでてきた。痛いよー」
吉川 「そんなの、赤チンつけてバンソウコウ貼っときゃ治りますよ」
白男 「本当? 死なない?」
吉川 「死なないから。大丈夫だから」
白男 「わかった。ありがとう」
吉川 「お大事に。次の方どうぞー」
暗転
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