ドクロマークの引越しセンター
藤村 「こんにちは。安心と安全を運ぶ、ドクロマークのぺてんし引越しセンターです」
吉川 「あぁ、待ってましたよ」
藤村 「わぁ、広い玄関ですね。あ! この靴、かっこいいですね」
吉川 「まぁ、上がってください」
藤村 「お荷物は以上でよろしいですか?」
吉川 「いや、よろしくないよ! あんた、靴しか持ってないじゃないか」
藤村 「あ、他にもあるんですか。てっきり靴のみかと勘違いしてしまいまして」
吉川 「そんな勘違いの仕方あるかよ」
藤村 「靴だけに、底が浅いでしょう!」
吉川 「え? なに? その突然、脈絡もなく上手いオチを言った風な感じは」
藤村 「今のジョークはサービスにしておきます」
吉川 「当たり前だよ! そんなものに金を払う気などない」
藤村 「で、お客様、失礼ですけど、IQ低そうですね」
吉川 「なんだよ、唐突に。本当にただ失礼なだけじゃないか」
藤村 「これは失礼しました」
吉川 「謝るならはじめから言うなよ! 気分悪いわ」
藤村 「IQだけに、愛のキューピッドでしょう!」
吉川 「意味わからないよ! だからなんなんだ、その脈絡のないオチは」
藤村 「今のもサービスにしておきます」
吉川 「そんなサービスいらないから。嬉しくないから」
藤村 「えー。嬉しくないと掛けまして……」
吉川 「もう、いいって! 早く運んでよ」
藤村 「いや、これは爆笑なんです。今年の忘年会でも使おうと思っていた必殺ギャグ」
吉川 「わかったよ。掛けまして?」
藤村 「……で、こちらの部屋にある荷物は全部運んじゃって構わないんですよね?」
吉川 「ほったらかしかよ! なんだよ、掛けまして。とか言っちゃったじゃんか」
藤村 「お客さん、こっちは仕事なんですから。空気読んでくださいよ」
吉川 「なんだよ。俺が悪者か? そんな空気になっちゃってるのか?」
藤村 「えー、掛けましてー……」
吉川 「やっぱり、掛けるんじゃないか!」
藤村 「あと、キッチンのものも全部運んじゃっていいですよね?」
吉川 「掛けないのかよ! 掛けるのか、掛けないのかはっきりしてくれ」
藤村 「申し訳ないんですけど、仕事の邪魔にならないようにお願いします」
吉川 「なに!? 俺が邪魔してる感じになっちゃってるわけ? なんなの? なんなのおたく?」
藤村 「安全と安心を運ぶ、ドクロマークのぺてんし引越しセンターです」
吉川 「知ってるよ! さっき、聞いたよ。大体なんだ、安全と安心とか言いながらなんでドクロマークなんだ! 危険じゃないか」
藤村 「これは社長が……」
吉川 「社長がなんだ? ドクロ好きなのか?」
藤村 「ドクロなんです」
吉川 「死んでるのかよ! もう社長じゃないじゃん」
藤村 「いや、半分死んでるって言うか、半殺しの状態? みたいな」
吉川 「みたいな、じゃないよ。普通、使わないよ? ドクロマークは」
藤村 「でも、俺たちゃ海賊なんでさぁ」
吉川 「海賊じゃないだろ! 引越し屋だろ? なんかちょっと口調も変わってるし」
藤村 「今、流行りの兼業海賊ってやつですか?」
吉川 「流行ってないよ! 聞いたこともない」
藤村 「ほら、荷物を船便で運んだりするときに、ついでに船も襲っちゃおう! みたいなコンセプトで」
吉川 「そんなアブノーマルなコンセプトつけるなよ」
藤村 「あ、このソファーベッドは大きいですね」
吉川 「あぁ、それでかいから大変なんだよ」
藤村 「ソファーベッドと掛けましてー……」
吉川 「わかったよ! 早く作業してくれ」
藤村 「掛けましてー!」
吉川 「はいはい。掛けまして?」
藤村 「じゃ、運んじゃいますねー」
吉川 「やっぱ無視か! 何を掛けるんだよ!?」
藤村 「ベッドカバー」
暗転
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