藤村 「いよいよ、欲望の秋だな」


吉川 「欲望全部? カテゴライズされてないの?」


藤村 「秋の欲は無限だから」


吉川 「普通、食欲とかじゃないの?」


藤村 「とかってなんだ? 食欲の他の欲は何だ? 何欲の秋だ? エッチなこと考えてるか?」


吉川 「考えてないよ。そっちが言い出したんだろうが」


藤村 「やっぱり秋といえば、靴下を脱いだあと、足の指の間をこすって嗅ぎたくなっちゃう欲の秋だな」


吉川 「そんな欲なの? 確かに臭いとわかっていながら、その臭さ具合を確かめて、やっぱり臭ってなるのはあるが」


藤村 「あと秋といえば、仮装をして人の家のドアを叩いて『お菓子くれなきゃいたずらするぞ』って言いたくなる欲の秋」


吉川 「ハロウィンだろ。欲でやってないだろ。人間の本能がそんな複雑な要求を求めないだろ」


藤村 「10月11日は祝日じゃないとわかってたのに気づかないふりしてバイトをサボって『え? スポーツの日じゃなかったんすか?』とトボけたくなる欲の秋」


吉川 「ピンポイントでその日しか発動しない欲があるのか?」


藤村 「ラーメン屋の替え玉無料の券の期限が今週までだから行きたい欲の秋」


吉川 「お前の個人的事情!」


藤村 「節分欲の秋」


吉川 「急にシンプル! 確かに立秋や立冬の前日も節分だけど、そんな豆知識的なことをここに来て言うの?」


藤村 「今回は年の数だけタピオカを食べる」


吉川 「結構お腹にたまるよ? タピオカ屋、みるみる減ってるから応援したい気持ちはあるけれども」


藤村 「ウーバーイーツを置き配で頼んだのに、配達員が写真を送るのに電波が悪くて玄関の前でスマホを掲げながらウロウロしていて、こっちは顔を合わせるのが気まずいから頼んだものを取ることもできず、早くどっか行ってくれないかな、BAD評価つけるぞと思っちゃう欲の秋」


吉川 「GOODにしてやれよ、減るもんじゃないんだから。相手も生活かかってるんだからさ」


藤村 「おちんちんがムズムズする欲の秋」


吉川 「それは性欲だ。そのストレートなやつはもっと序盤で言ってくれないと。結構回り道してここで来られても照れちゃう」


藤村 「ロボットの関節部分を覆っている蛇腹のところを歯ブラシでシュッシュしたい欲の秋」


吉川 「まったく共感性のないこと言い出したな。そんな欲もってる人お前しかいなくない? もっと普遍的なやつあるだろ」


藤村 「バスタオル何度洗っても臭いんだよなぁ欲の秋」


吉川 「雑菌のせい。一度熱湯とかにつけるといいよ」


藤村 「シャツも臭い欲の秋」


吉川 「雑になってきてない? 臭い関係はもうやったのよ。細かい衣類を言い出さないで」


藤村 「デンタルフロスをしたあと指が臭い欲の秋」


吉川 「臭はもういいよ。そもそももう欲でもなんでもない」


藤村 「ヨダレでビタビタにもなる欲の秋」


吉川 「全体的に清潔感がないよ。もっうちょっと爽やかな話題があるでしょ」


藤村 「入浴の秋」



暗転

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