探偵登場

吉川  「やはり、これは自殺ということになりますかな」


声   「ちょっと待った!」


吉川  「む? 誰だ?」


藤村  「事件の影にその人あり。名探偵藤村だ!」


吉川  「なっ!? あの、数々の難事件を解決した名探偵藤村だと」


藤村  「自殺と決め込むのにはちょっと早いぜ。なぜならこの部屋には、凶器がない!」


吉川  「……とすると、これは、他殺!?」


藤村  「その通り」


声   「ちょっと待った!」


吉川  「む? 誰だ?」


超能力 「もつれた糸を超能力で解きほぐす。その名も超能力探偵とは俺のことだ」


吉川  「なっ!? あの、数々の難事件を超能力で解決してる超能力探偵だと」


超能力 「他殺だとすると、誰がこの部屋の鍵をかけたんだ? これは、密室だ!」


吉川  「……とすると、これはやはり」


声   「ちょっと待った!」


吉川  「む? 今度は誰だ?」


霊界  「どんな事件も霊視で解決。霊界探偵とは俺のことだ」


吉川  「なっ!? あの、数々の難事件を霊視で解決に導いてる霊界探偵だと!」


霊界  「この鍵の部分をよくみてくれ、ここにワイヤーでつけられたかすかな傷がある」


吉川  「……とすると」


声   「ちょっと待った!」


吉川  「む? まだいるのか」


サイボ 「コンピューターはウソをつかない。サイボーグ探偵とは俺のことだ」


吉川  「なっ!? あの、数々の難事件をコンピューター頭脳で解決に導いてるサイボーグ探偵だと」


サイボ 「コンピューターのはじき出した答えによると、一見密室と思われていたこの部屋、しかしその窓の部分に足跡が」


吉川  「……とすると」


声   「ちょっと待った!」


吉川  「む? 今度は誰だよ」


カレー 「30種のスパイスが捜査の決め手。その名もカレー探偵とは俺のことだ」


吉川  「え……、カレー?」


カレー 「俺のスパイスの調合によると、この被害者の夕食はカレーライスではなく、ハヤシライスだ!」


吉川  「いや、カレーってちょっと」


藤村  「うん。カレーは」


超能力 「夕食とか、あんまり関係ないし」


霊界  「スパイスで捜査って」


サイボ 「ウィーン、ガシャ」


カレー 「のけ者にしないでよ。いいじゃん。カレー探偵でも」


声   「ちょっと待った!」


吉川  「いや、もう待たない」


ロック 「俺のハートはバーニング! そうさ俺こそロックンロール探偵だ!」


吉川  「……で?」


ロック 「え。なに、その面倒くさそうな対応は」


吉川  「もう、ちょっと探偵多すぎ」


ロック 「いや、そんな」


藤村  「だいたい、ロックンロールってなんだ。探偵と関係ないじゃん」


カレー 「そうだ」


ロック 「お前が言うなよ!」


声   「ちょっと待った!」


吉川  「またかよ!」


被害者 「事件のすべては私が知っている。その名も、被害者探偵だ!」


吉川  「お前は黙ってろ!」



暗転

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