知ってる

藤村 「お風呂入ってたらさぁ、鼻血が出たんだよ」


吉川 「のぼせたんだね」


藤村 「結構大量に出てビビッた」


吉川 「ブーッ! って?」


藤村 「いや、ポタタタタって感じだけど」


吉川 「さすがにブーはないか」


藤村 「そう言えば、鼻血すぐ止める方法って知ってる?」


吉川 「いや、知らない」


藤村 「そうか。知らないか」


吉川 「うん」


藤村 「でさぁ、タオルが血で真っ赤になって……」


吉川 「いや、ちょっと待って。鼻血すぐ止める方法は?」


藤村 「知らないんでしょ?」


吉川 「うん」


藤村 「そうかぁ」


吉川 「いや、そうかぁ、じゃなくて。教えてくれるんじゃないの?」


藤村 「なんで?」


吉川 「普通、なんか知らない? って言った後って豆知識タイムに突入するじゃん」


藤村 「しない」


吉川 「じゃ、なんで聞いたんだよ」


藤村 「知ってるかどうかを確認しただけだよ。お前は知らない。つまりお前は俺よりも鼻血に関して下」


吉川 「うわぁ。嫌なこと確認するなぁ」


藤村 「でね、タオルが血で真っ赤になっちゃって」


吉川 「うん」


藤村 「血の染みってどうやってとるか知ってる?」


吉川 「知らない」


藤村 「そうか、知らないのね」


吉川 「いや、教えてよ!」


藤村 「バカ。ここは食卓でもなければ伊東家でもない」


吉川 「そんなことは知ってるけど」


藤村 「それは知ってるのか」


吉川 「なんか、気になるじゃん。知ってる? なんて聞かれたら」


藤村 「あー。じゃ、あれ知ってる?」


吉川 「なになに?」


藤村 「あれ」


吉川 「あれじゃわからないよ」


藤村 「知ってるか知らないかで答えろよ」


吉川 「いや、わからないもん。知ってるかどうかもわからないよ」


藤村 「じゃ、知らないってことでいい?」


吉川 「ヒント頂戴」


藤村 「知ってるならヒントなんていらないでしょうが」


吉川 「だからさぁ」


藤村 「知らないのね?」


吉川 「知らないとか知ってるとかの問題じゃないだろ」


藤村 「なんだ? 逆ギレか?」


吉川 「別にキレてないよ! もういい」


藤村 「なんだよぉ。相手してくれよぉ」


吉川 「ほっといてくれ」


藤村 「知らぬがほっとけ……か」


吉川 「本当にほっといてくれ」



暗転

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る