まんじゅうこわい
藤村 「饅頭怖い」
吉川 「どうしたの急に」
藤村 「饅頭は怖い」
吉川 「落語の?」
藤村 「これはもう落語だけに留めて置けるものではなくなった」
吉川 「なんで? 饅頭をたくさん食べようとした人の話でしょ?」
藤村 「俺の独自の調査によると、とんでもないことが判明した」
吉川 「なに?」
藤村 「日本人の死因の約92%は饅頭による可能性がでてきた」
吉川 「なんだって!? それは、とんでもないことじゃないか」
藤村 「欧米では約4%」
吉川 「日本だけ異常に高い!」
藤村 「そう。これは統計的事実というやつだ」
吉川 「饅頭がこんなことになってただなんて……」
藤村 「言いづらいのだが、国民病と言ってもいい」
吉川 「そんな……いったい、どんな調査を!?」
藤村 「死亡した日本人がどれだけの確率で饅頭を食べていたのかをリサーチした」
吉川 「それが……92%」
藤村 「そう。乳幼児などを除くと、ほぼ100%に近い確率で食べている」
吉川 「なんてこった」
藤村 「ここからは俺の説なんだが、おそらく饅頭には何か凶悪な毒素が含まれているに違いない」
吉川 「そうだ! そうでなければ饅頭を食べた人が必ず死ぬなんて考えられない」
藤村 「俺はその毒素をマンジウムと名づけた」
吉川 「毒っぽい! 絶対死ぬよ。マンジウム食べたら!」
藤村 「うむ。マンジウムは普通では合成不可能な毒素なんだ」
吉川 「じゃ、どうやって!?」
藤村 「餡と皮の絶妙なるハーモニーだよ」
吉川 「くそぅ! あのハーモニーのやつか!」
藤村 「それが体内に入った時にマンジウムに変化する」
吉川 「そして……」
藤村 「そう。そのマンジウムが、やがて人を死に至らしめる」
吉川 「やばい! 俺、饅頭結構食べちゃってるよ」
藤村 「もはや手遅れだ。マンジウムは身体に蓄積する」
吉川 「どうしよう! 紅白饅頭とかも結構いっちゃってる」
藤村 「バカ! 紅白と言ったら、赤マンジウムと白マンジウムの華麗で荘厳なるシンフォニーを奏でるじゃないか」
吉川 「うわぁ。絶望だ! 俺は死ぬぅ」
藤村 「まさか、お前……温泉は?」
吉川 「す、すまん! お前にだけは嘘はつけない!」
藤村 「温泉もやっちゃってるのか!」
吉川 「だって、温泉饅頭がそんなにやばいものだとは知らずに」
藤村 「知らなかったで済む問題か!」
吉川 「温泉マンジウムはやばいのか?」
藤村 「通常の約5倍の濃度のマンジウムが検出されると言う噂だ」
吉川 「饅頭怖い! 略してマンコワ!」
藤村 「取り乱すな! そして略すな! 死ぬのはお前だけじゃない」
吉川 「そうは言っても!」
藤村 「今のところマンジウムに対する有効な手立ては見つかっていない。だが絶望はするな!」
吉川 「するよ! もう絶望のどん底だよ」
藤村 「絶望したら、それこそ饅頭の思うつぼだぞ」
吉川 「饅頭の……」
藤村 「そうだ。俺たちは饅頭に負けてはいけない! アクト・アゲンスト・饅頭!」
吉川 「なんて力強い言葉なんだ……」
藤村 「俺たちは饅頭と戦っていこう! そして、いつの日か打ち勝とう!」
吉川 「そうだ! 俺も一緒に戦うぞ!」
藤村 「ははは、その意気だ!」
吉川 「よぉし。景気付けに飲みに行くか!」
藤村 「おう!」
吉川 「ただしお茶だぜ。ははははは……」
藤村 「そのお茶なんだが、日本だけでなく英国でも死因として報告されてる」
吉川 「今度はお茶が怖い!」
暗転
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