環境問題

吉川 「我々は環境問題も考えていかねばならないな」


藤村 「どうしたんだ急に」


吉川 「特に空気とか」


藤村 「まぁ、たしかに空気は汚れてるかもなぁ」


吉川 「だろ?」


藤村 「やっぱり田舎に行くと空気が綺麗だって思うもの」


吉川 「おたんこなすっ! そういう問題じゃないんだよ」


藤村 「え、おたんこなすて」


吉川 「俺が問題にしたいのはおっさんだ」


藤村 「おっさん? おっさんて、中年のおっさん?」


吉川 「そう。おっさん近辺の空気は汚れてる」


藤村 「いや、それはいくらなんでもおっさん差別だ」


吉川 「ばかやろう! 実際の環境問題でも牛のゲップに含まれるメタンガスが深刻な問題になってるんだぞ」


藤村 「そうなのか」


吉川 「それと同様におっさん近辺の空気も、なんか嫌だ」


藤村 「いや。それは思いっきり主観じゃないですか」


吉川 「じゃ、お前何か? おっさん近辺の空気と何とか坂みたいなアイドルグループ近辺の空気と、思いっきり吸うならどっちがいい?」


藤村 「何とか坂って、あんまりよく知らないんじゃ?」


吉川 「そう言う細かいことは今はいいんだよ! どっちがいいかで考えろ」


藤村 「そりゃ何とか坂の方がいいです」


吉川 「だろ? おっさんは明らかに空気を汚してる」


藤村 「いや、それはイメージであって同じ人間なんだから」


吉川 「イメージこそがすべてだ! じゃ、あれか? お前は空気を具体的に見えるのか?」


藤村 「いや、見えませんけど」


吉川 「汚い空気と綺麗な空気の区別を、本当にきちんとできるのか?」


藤村 「そう言われると……」


吉川 「つまり空気なんてものはイメージに過ぎない」


藤村 「いやいや、実在してますよ」


吉川 「それは夢だ」


藤村 「夢じゃなくて。実際にあるでしょ」


吉川 「だったらお前、持ってきて見せてみろよ」


藤村 「いや、持ってくるには来れるけど、見せるって言うのは……」


吉川 「空気はファンタジー」


藤村 「架空の存在にされた」


吉川 「そしておっさんはファンタジーを汚す存在だ」


藤村 「おっさんが可哀想になってきた」


吉川 「じゃ、お前は一生おっさんの近辺の空気を摂取してろ! 俺は何とか坂を担当するから」


藤村 「なんかそれはずるい」


吉川 「じゃ、おっさんの中でもいいおっさん担当にしてあげる 」


藤村 「なんだ、いいおっさんて」


吉川 「高原のおっさん」


藤村 「高原でもおっさんはおっさんだ」


吉川 「バラのアロマのおっさん」


藤村 「おっさんとアロマと言う単語は相性が悪すぎる」


吉川 「とにかく、お前はおっさん担当に決定」


藤村 「やだよ。そりゃ、どちらかといえば何とか坂の方がいい


吉川 「だろ? おっさん一人が汚した空気を清浄化するのに何とか坂がいくつ必要か」


藤村 「坂道シリーズに、そんな特殊能力はないと思うけど」


吉川 「つまりだ、おっさんは空気を汚す!」


藤村 「言い切った」


吉川 「そして何とか坂みたいなグループにもみくちゃにされることで」


藤村 「待って。一旦待って。さっきから雑に坂道シリーズを語ってるけど、そもそもどのグループに対して言っているのか。もちろんグループという視点ではなく個人に対して思い入れがあるということもあるでしょう。そのあなたの中に浮かび上がった概念にはモデルとなる個人がいるはずですよね。一体どのグループの誰に対して言っているのかを明らかにしてもらわなければ、そもそもの議論は成立しないと思うのですが」


吉川 「あ、急に早口に。なんかすみません」


藤村 「今のは一体何に対してのすみませんなのですか?」


吉川 「あの、空気読めなくてすみません」



暗転

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