白黒

吉川 「そろそろ白黒はっきりつける時期にきてると思うんだよ」


藤村 「なんの?」


吉川 「なにってお前、決まってるだろ」


藤村 「いや、なにが決まってるのかさっぱりなんだけど」


吉川 「例えばそうだな、シマウマとか」


藤村 「えぇ、そういう具体的な意味で白黒つけるの?」


吉川 「シマウマとかなんなんだよ、あいつ」


藤村 「なんなんだって言われても、シマウマでしょ」


吉川 「だからさ、白馬なのか黒馬なのかが問題だよ」


藤村 「いや、だからシマウマだよ」


吉川 「わからないやつだな。俺が言ってるのは、白馬に黒い縞なのか、黒馬に白い縞なのかってことだよ」


藤村 「そんなこと言われても」


吉川 「パンダとかははっきりしてるじゃん」


藤村 「してるの!?」


吉川 「あれはお前、白熊だろ?」


藤村 「だろって自信マンマンに言われても」


吉川 「白熊がちょっと白髪が気になって毛染めしたからああいう感じになった」


藤村 「絶対違うと思うけど」


吉川 「そうなんだよ。だからあいつ寒さに意外と強いぜ」


藤村 「そうだったのか」


吉川 「お前、冬眠したパンダ見たことあるか?」


藤村 「いや、ないけど」


吉川 「だろ? あれは白熊だから冬でも活発に活動するんだよ」


藤村 「そうだったのか。知らなかったよ」


吉川 「その点、シマウマは曖昧極まりないよな」


藤村 「まぁ、シマシマだからな」


吉川 「じゃ、俺が決めていい?」


藤村 「え、それは」


吉川 「じゃ、お前決めちゃえ」


藤村 「いやいや、遠慮しておくよ」


吉川 「そう? じゃ、決めちゃうよ?」


藤村 「いいのかなぁ? まぁ、誰に許可とっていいのかもわからないけど」


吉川 「今日からシマウマは白馬です。白馬に黒いシマで決定!」


藤村 「はぁ、なんていうか。それはどうもおめでとうございます」


吉川 「あと問題はあいつだな」


藤村 「まだあるのか」


吉川 「強敵だよ。横断歩道」


藤村 「またそんなのか」


吉川 「あれはさ、白いところを歩けばいいの? 黒いところを歩けばいいの?」


藤村 「いや、自由に歩けばいいんじゃない?」


吉川 「そういう曖昧さが乱れた風紀を産むんだよ」


藤村 「そうとも思えないけど」


吉川 「俺はいつも横断歩道の前で二の足を踏んでるよ」


藤村 「無駄な足踏みだな」


吉川 「これも本日付で白黒つけさせてもらいます」


藤村 「はぁ、どうも」


吉川 「今日より横断歩道は白!」


藤村 「えぇ!」


吉川 「白以外を歩いてはいけません」


藤村 「もし黒を歩いたら?」


吉川 「死刑ね」


藤村 「なんだよそれ!?」


吉川 「あ、驚いたな?」


藤村 「そりゃ、驚くよ」


吉川 「次の標的はお前だ」


藤村 「なんでだよ!」


吉川 「目を白黒させてる」



暗転

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