良子 「吉川くん! トップブリーダーも推奨の吉川くん!」


吉川 「そんなものに推奨された覚えはない」


良子 「あのね、良子欲しいものがあるの」


吉川 「無理。どうせ変なものでしょ?」


良子 「違うよぉ! 今度は変なものじゃない! 法にもふれないと思うし」


吉川 「普通、法にふれるものは安易に欲しがらない」


良子 「あのね。良子、犬が欲しい」


吉川 「犬って、あの犬?」


良子 「そう」


吉川 「政府の犬とかじゃなくて?」


良子 「そんなのいらないよ! 敵じゃん!」


吉川 「別に敵じゃないと思うけど」


良子 「犬はね、昔は将軍になってたくらいえらいんだよ」


吉川 「えーと、それは完全に間違えてるけど」


良子 「あと有名人に犬のつく名前の人が多い」


吉川 「それも全然関係ないけど」


良子 「王貞治とか」


吉川 「それは犬つかないね。ワンちゃんだけど」


良子 「ね~え~。買ってよぉ」


吉川 「でも大変だぞぉ」


良子 「ルートなら確保してあるの!」


吉川 「入手が大変なわけじゃない。どんなルートを確保したんだ」


良子 「それを言うと消されちゃうから……」


吉川 「そんなルートを確保するなよ」


良子 「てへへ」


吉川 「大変なのは世話だよ」


良子 「平気だよ。こう見えても吉川くんの世話だって見てるもん」


吉川 「あんまり世話をみてもらった覚えはないけど」


良子 「ねぇ。買ってよぉ」


吉川 「うーん。犬は、まぁ、欲しいな」


良子 「でしょ! でしょ!」


吉川 「可愛いしな」


良子 「美味しいし」


吉川 「食うの!? そっち目的なの?」


良子 「食べないよ! いざっていう時のためだよ」


吉川 「いやいや、いざでも食べるなよ」


良子 「わかった。我慢する」


吉川 「そこは別に我慢しなくてもいい場所なはずなのに」


良子 「名前とかどうしよう。男の子なら男らしい名前がいいね」


吉川 「オスがいいの?」


良子 「どっちでもいい。双子でもいいよ」


吉川 「別に俺は生まないからね」


良子 「男らしいといえば、ふんどしだね」


吉川 「いやいや、確かに男らしいけど、名前にするのはどうだろう」


良子 「女の子なら、ふんど子」


吉川 「子をつけりゃ女の子らしいと思ってない?」


良子 「やっぱり男の子がかっこいいかな」


吉川 「俺に名前つける権利はないの?」


良子 「じゃ、吉川くんの好きな芸能人の名前は?」


吉川 「芸能人じゃないけど……ケネディとか」


良子 「ユタ州出身の!」


吉川 「それはケント・デリカットだね。ケとデはあってるけど、普通間違えない」


良子 「誰? ケネディって」


吉川 「ジョン・F・ケネディ」


良子 「かっこいい! 真ん中のFがかっこいい!」


吉川 「反応がいいのは嬉しいんだが、別にそこは褒めるところじゃない」


良子 「それがいいよ! 真ん中にイニシャルあるのがかっこいいよ」


吉川 「面倒くさい名前になりそうだな」


良子 「ねね、いいの考えた」


吉川 「なに?」


良子 「吉川・T・シャツ」


吉川 「それは普通に俺ブランドのTシャツじゃんか」


良子 「かっこいい!」


吉川 「もっとさ、他にないの?」


良子 「じゃぁ、とっておきの。将来立派になりそうな名前」


吉川 「そうそう。そういうのがいい。ケネディみたいの」


良子 「吉川・J・ビーフ」


吉川 「やっぱ食う気だ」



暗転

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