未来人

藤村 「ゴホッ……ゴホッ……」


吉川 「大丈夫ですか?」


藤村 「いや、すみません。どうも21世紀の汚れた空気は私の身体にはきついみたいで」


吉川 「へぇ、未来はやっぱり空気がいい?」


藤村 「すごいいいね。息つく暇もないほどいい空気だよ」


吉川 「表現がなんか間違ってるけど」


藤村 「エコがね。もうすさまじいから」


吉川 「へぇ。やっぱり」


藤村 「地球が悲鳴をあげるくらいエコ」


吉川 「ダメじゃないですか。地球弱ってるじゃないですか」


藤村 「もうエコとか勘弁してくださいよって位の勢いでエコね」


吉川 「目的見失ってるよ」


藤村 「すごいぜー。未来は」


吉川 「未来ってなにが流行ってるんですか?」


藤村 「なにって……まぁ、3だな」


吉川 「3?」


藤村 「うん。ロード・オブ・ザ・リング3とか」


吉川 「そんなの現代だってやってますよ」


藤村 「違う。それは1の第三章だろ? そうじゃない! ロード・オブ・ザ・リング3第十二章、王のハチャメチャ快進撃」


吉川 「そんなに作られるんだ!」


藤村 「もう舞台は宇宙だからね」


吉川 「そこで王がハチャメチャ快進撃を……」


藤村 「あとはルパン三世三世」


吉川 「なんだ、その語呂の悪さは」


藤村 「あの怪盗ルパン三世の孫が大活躍するんだよ」


吉川 「それ、普通にルパン五世じゃないですか」


藤村 「三世三世なんだよ。石川七エ門とかも出てくる」


吉川 「21えもんみたいになってる」


藤村 「ロボ銭形との捕り物が見もの」


吉川 「ロボコップじゃん」


藤村 「面白いぜー。みんなTVに釘付け」


吉川 「あ、TVは普通にあるんだ」


藤村 「いや、超薄い」


吉川 「薄型なら今だって……」


藤村 「そんなもんじゃない。下敷きレベル。脇でこすると髪の毛がつくよ」


吉川 「そんなことしなくてもTVなら静電気起きるんじゃ」


藤村 「なんか、たわませるとポワンポウェンみたいな音が鳴る」


吉川 「いまどき下敷きってのも伝わりづらい」


藤村 「薄すぎて向こうが透けて見える」


吉川 「余計見づらいじゃん」


藤村 「もうね。ふぐ刺しレベル。あれ? これふぐ刺しかなぁ? って思ったらテレビ」


吉川 「薄くても間違えないよ。そこは」


藤村 「一口めでわかる」


吉川 「食べる前に気づけ」


藤村 「そのくらい薄いってこと」


吉川 「他に流行ってるのは?」


藤村 「鳥インフルエンなんとか?」


吉川 「いや、そんなの今も流行ってますよ。鳥インフルエンザでしょ? っていうか流行る意味も違うし」


藤村 「鳥インフルエンジンだ」


吉川 「なんだそれ」


藤村 「鳥を動力にしたエンジン」


吉川 「弱そ!」


藤村 「エコだからね」


吉川 「いくらエコでも……」


藤村 「俺の乗ってきたタイムマシンもそうだよ」


吉川 「えー!? これそうなの?」


藤村 「そうだよ。鳥のおかげでこの時代にこれた」


吉川 「どんな鳥なんですか?」


藤村 「カッコー」



暗転

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