緑の戦士

グリーン 「うぇ~。飲みすぎた」


ブルー  「大丈夫? 顔色悪いぞ?」


グリーン 「お前に言われたくないよ」


ブルー  「そうだけどさ」


グリーン 「だいたいなんで俺が飲みすぎたと思ってんだ」


ブルー  「それはさっきさんざん聞いたよ」


グリーン 「ちくしょう! みんな目立ちやがって! オレだってヒーローなのに!」


ブルー  「グリーンだってけっこう目立ってるよ!」


グリーン 「嘘つけ! お前そんなこと言って腹の中じゃ笑ってんだろ」


ブルー  「笑ってないって」


グリーン 「お前はいいよ。特徴たくさんあってさ。性格はクールで動きが俊敏とかいかにも活躍しそうじゃん」


ブルー  「そんなことないって。クールなふりしてるだけだからさ。結構辛いんだよ」


グリーン 「ピンクは、女ってだけで目立つしさ。色気とかあるしさ」


ブルー  「ピンクだって色々大変らしいよ。セクハラとか」


グリーン 「だいたいなんで怪人が人間の色気にひっかかってんだよ! 納得いかねーよ」


ブルー  「そういう差別っぽい発言やめたほうがいいよ。最近色々うるさいから」


グリーン 「イエローはカレー好きだし、力持ちだし」


ブルー  「イエローも大変なんだって。やっと帰化申請通ったって喜んでたもん」


グリーン 「もともとインド人じゃねーか! あんなのヒーローでいいのかよ」


ブルー  「だからそういう差別的なのダメだって」


グリーン 「レッドなんかさ、勝手にリーダー気取りだし。誰が決めたの? レッドがリーダーって」


ブルー  「いや、それはなんとなく」


グリーン 「民主主義にのっとってないじゃん! 言ったもん勝ちじゃん」


ブルー  「そうだけどさ。なんか情熱的だし、みんなをひっぱってくイメージあるじゃん?」


グリーン 「あいつ趣味知ってる?」


ブルー  「知らない」


グリーン 「Nゲージだぜ! どこが情熱的なんだよ」


ブルー  「ほら、ある意味、そういうのって情熱が必要なわけじゃん?」


グリーン 「ちくしょう。みんないいよな。ヒーローっぽい特技あって」


ブルー  「グリーンだってあるじゃん」


グリーン 「俺のは特技じゃないもん!」


ブルー  「いや、いいと思うけどなぁ、……手先が器用」


グリーン 「手先の器用さでどう戦うんだよ! なにか? みんなが怪人と戦ってる時にトランプタワーとか作ってりゃいいのか?」


ブルー  「ほら、知恵の輪怪人とか出てきたら大活躍しそうじゃん?」


グリーン 「そんなとってつけた怪人でてくるかよ!」


ブルー  「色だってさ。目に優しいし」


グリーン 「アホか。目に優しいとか、地球に優しいとか。好きでグリーンになったんじゃねーつーの」


ブルー  「そんなこというなよ。グリーンいいじゃん」


グリーン 「ウォ、オェェェェ」


ブルー  「だ、大丈夫?」


グリーン 「ほら見ろ! これのどこが地球に優しいんだよ! ゲロ吐いてるじゃねーか」


ブルー  「こういうところ人に見られるとまずいから。ほら、口ふいて」


グリーン 「なんだお前? 優等生か? ちくしょう、自分ばっかりブルーだからって」


ブルー  「そんなこと言われても……」


グリーン 「な、な、とっかえね?」


ブルー  「え……」


グリーン 「いいじゃん。お前さっきグリーンいいって言ってたじゃん」


ブルー  「いや、それはさ。あれだよ。勝手に取り替えると怒られるよ」


グリーン 「いいじゃん。ちょっとだけ」


ブルー  「ダメだよ。あ、俺のスーツあれなんだ。臭いの」


グリーン 「いいよ、気にするなよ。俺のだってゲロくさいから」


ブルー  「それは俺が気にするよ! やだよ」


グリーン 「ちょっとだけ。中にはあんまり入ってないから」


ブルー  「ちょっとは入ってるってことじゃないか!」


グリーン 「地球に優しく自分に厳しいんだよ」


ブルー  「言ってる意味がちっともわからないよ」


グリーン 「いいだろ! ほら! 抵抗すると変な噂とかたてるぞ!」


ブルー  「そういう陰湿なのやめようよ」


グリーン 「ホモって噂立てるぞ! 俺とデキてるって!」


ブルー  「なんで自分まで巻きぞいになってるんだ」


グリーン 「いいから! 早く脱げよぉ」


ブルー  「じゃ、ちょっとだけだよ」


グリーン 「ほら。グリーンやるよ」


ブルー  「うわぁ。思いっきりゲロついてるじゃんか!」


グリーン 「くさっ! お前のスーツなんだよ! なんで磯くさいんだよ!」


ブルー  「しょうがないだろ! ブルーなんだから」


グリーン 「予想外の臭いで戸惑うじゃねーか!」


ブルー  「ゲロついたスーツ着る身にもなってくれよ」


グリーン 「お! なかなか似合うじゃん。まさにグリーンて感じだよ!」


ブルー  「これ着れば誰だってグリーンて感じになるよ」


グリーン 「しばらくこのままでいようぜ」


ブルー  「やだよ! こんなところ怪人に襲われたらどうするんだよ!」


グリーン 「平気だよ。もう酔い覚めた」


ブルー  「酔いの問題じゃなくて連携とかおかしいじゃん」


グリーン 「どうせグリーンなんていつも活躍しないから平気だよ。俺に任せろ」


ブルー  「えー。そんなこと言われても……」


怪人   「ウワハハハ! 見つけたぞ!」


グリーン 「うわぁ! 怪人だ」


ブルー  「やばい! どうしよう!?」


グリーン 「俺に任せろ!」


怪人   「ほほぉ! ブルー一人で立ち向かうとはな。知恵の輪怪人様も甘く見られたものよ!」


ブルー  「……」


グリーン 「……」


ブルー  「あの……。このグリーンが相手になるぜ……?」


グリーン 「……」


怪人   「お前はっ!? 手先が器用なグリーン! 相手に不足はない!」


ブルー  「……ちょ、ちょっと待ってくれる?」


怪人   「どうした!?」


グリーン 「……」


ブルー  「なんか、こいつブルーになっちゃってるみたい」



暗転

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