異議あり

弁護士 「お疲れ」


検事  「あ、おつかれー」


弁護士 「ポテチ食う?」


検事  「なに味?」


弁護士 「コンソメパンチ」


検事  「食う食う」


弁護士 「な、な、俺、前から思ってたんだけどさ」


検事  「ん?」


弁護士 「アレ言いたくね?」


検事  「なによ?」


弁護士 「アレだよ」


検事  「アレじゃわかんねーよ」


弁護士 「異議あり」


検事  「あー! 言いてぇ」


弁護士 「言いてぇよなぁ」


検事  「言う機会ないもんな」


弁護士 「裁判する時には証拠そろっちゃってるし」


検事  「いまさら異議もないよな」


弁護士 「ないね」


検事  「だいたい判事の心証悪くなっちゃうからね」


弁護士 「言えねーっつのな」


検事  「そんな空気じゃねっつーのな」


弁護士 「でも言いたいよね」


検事  「言いたいねぇ」


弁護士 「ポテチまだある?」


検事  「あるよ、ほら」


弁護士 「異議あり!」


検事  「え……」


弁護士 「カスしか残ってません!」


検事  「うわぁ! 異議あった」


弁護士 「あった? あった?」


検事  「あったねぇ。畜生ずりぃよ、自分ばっかり」


弁護士 「ずっとタイミング計ってた」


検事  「俺も異議ありたい!」


弁護士 「そう都合よくいかないよ」


検事  「異議りたい!」


弁護士 「異議りたいっていいな。流行りそう」


検事  「いいでしょ? 俺が考えた」


弁護士 「ちょっとエロっぽいしね」


検事  「異議あり!」


弁護士 「む……」


検事  「それはいじりたいです!」


弁護士 「異議あられた~!」


検事  「どう? 今の? あった?」


弁護士 「あったねー。だいぶあった」


検事  「気持ちいいなぁ」


弁護士 「気持ちいいよね。もっと異議りたいね」


検事  「異議りたいね」


弁護士 「ポテチ……ポテチ……」


検事  「今ひょっとして一生懸命ボケ考えてる?」


弁護士 「異議あり!」


検事  「む……」


弁護士 「ボケじゃなくて異議です!」


検事  「あー、そうきたか」


弁護士 「意外と融通利くなぁ」


検事  「なんか一歩リードされたっぽい感じ」


弁護士 「ポテチ……ポテチ……」


検事  「異議あり!」


弁護士 「む……」


検事  「その振りは二回目でちょっと飽きてる上に意外と拾いづらい!」


弁護士 「うーん。まぁ、異議あったね」


検事  「ギリギリ?」


弁護士 「うん。ギリギリ」


検事  「ポテチ……ポテチ……」


弁護士 「異議あり!」


検事  「む……」


弁護士 「異議唱えておきながら自分で言っちゃってる!」


検事  「異議あった!」


弁護士 「いまのはパスがよかった」


検事  「でしょ? 俺もそう思った」


弁護士 「ちょっと笑っちゃったもん」


検事  「もう、ポテチネタ飽きたね」


弁護士 「飽きた」


検事  「ポテチも塩味だけに潮時か……」


弁護士 「異議あり!」


検事  「む……」


弁護士 「そのポテチはコンソメパンチです!」


検事  「異議あられた~!」


弁護士 「ナイスパス。イェ~!」


検事  「イェ~!」


弁護士 「……」


検事  「……?」


弁護士 「なにやってんだろ、俺たち」


検事  「うわぁ。急に現実戻っちゃった」


弁護士 「ちょっとはしゃぎすぎた」


検事  「そだね」


弁護士 「はぁ……まったく」


検事  「意味なし!」


弁護士 「イェ~!」


検事  「イェ~!」



暗転

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