試合

吉川 「間に合った?」


藤村 「今、ちょうどいいところ!」


吉川 「おー、リードしてるじゃん」


藤村 「いまのところね」


吉川 「え? なに? ロマノ出てるの?」


藤村 「そう。復帰」


吉川 「へぇ。青い左足のロマノ、怪我治ったのか」


藤村 「う~ん、でもまだキレがいまいち」


吉川 「そうなの?」


藤村 「見ててごらん。ほら、躍動感が」


吉川 「本当だ。躍動感が足りないなぁ」


藤村 「まぁ、それでも一流には変わりないけどね」


吉川 「うわっ!」


藤村 「うっわ!」


吉川 「惜しい~」


藤村 「今のは惜しかったね」


吉川 「あと20cmずれてたら入ってたよ」


藤村 「でも今のガードがセービングしてるな」


吉川 「いや、届いてないよ」


藤村 「ちょっとかすってる。ほら、リプレイ」


吉川 「ここで……あ~! 触ってるか! 微妙!」


藤村 「この角度からだと微妙だね」


吉川 「まぁ、すぐにチャンスくるでしょ」


藤村 「あ、TRだ」


吉川 「なに今の? ファール?」


藤村 「いや、テクニカルルネッサンス」


吉川 「あぁ。相手チーム」


藤村 「たぶんね」


吉川 「な、な、あれしようぜ?」


藤村 「あれって?」


吉川 「コール」


藤村 「いいけど……茄子ないぜ?」


吉川 「まじでっ!? 言ってくれれば来る途中で買ってきたのに」


藤村 「バナナならあるけど」


吉川 「全然違うじゃん。打ち付けたところが茶色くなっちゃうよ!」


藤村 「あと代わりになりそうなものといえば……きりたんぽかペッパーミルしかないな」


吉川 「その中でいったらバナナだな」


藤村 「だろ?」


吉川 「しょうがない。足りない分は気迫でフォローしよう」


藤村 「ほら、ネクタイ」


吉川 「サンキュー。じゃ、いくぜ?」


藤村 「うん」


吉川 「ワキワキワー!」


藤村 「ワキワキワー!」


吉川 「チョンポチョンポワー!」


藤村 「チョ……」


吉川 「やめるなよ! 一人でやってるとバカみたいだろ!」


藤村 「ゴメン。でもやっぱりバナナじゃしっくりこなくて」


吉川 「お前って奴は、どこまで本物志向なんだ」


藤村 「コールはまた今度にしようよ」


吉川 「しょうがねぇなぁ。バナナ食っていい?」


藤村 「ダメだよ! 一応お供えしておけよ」


吉川 「そうだな……」


藤村 「あ、もうそろそろセクシャルサイドだ」


吉川 「まじで? 逃げ切れるかな」


藤村 「これだけリードしてれば平気でしょ」


吉川 「あ~、セクシャルサイドだ」


藤村 「勝ったね」


吉川 「イェ~!」


藤村 「イェ~!」


吉川 「ところでさ」


藤村 「うん?」


吉川 「俺、これのルール全然知らないんだけど」


藤村 「俺も俺も」



暗転

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