正月

藤村 「新年あけましておめでとう」


吉川 「おめでとう」


藤村 「やぁ、新年初吉川だな」


吉川 「え? なんだよ突然」


藤村 「初吉川。今年もよろしく」


吉川 「あ、あぁ」


藤村 「新年初詣行く?」


吉川 「あ~、どうしよっかな。面倒くさいな」


藤村 「確かに、新年初面倒だな」


吉川 「いや、そんなに大層なことじゃないだろ」


藤村 「今、新年初何時?」


吉川 「……10時かな」


藤村 「新年初10時かぁ」


吉川 「なに? もう、かたっぱしから新年初をつける趣向?」


藤村 「別にそんな新年初趣向じゃないよ」


吉川 「そうじゃないか」


藤村 「だって新年初じゃん?」


吉川 「そうだけどさぁ……。なんか大袈裟。10時は10時でいいじゃん」


藤村 「新年初だぞ! 歴史的な10時だよ」


吉川 「なんか新年に無駄に踊らされてるな」


藤村 「お前は何だ。このおめでたい日を!」


吉川 「いや。だって、別になぁ。でもお前だって言葉以外普通じゃん」


藤村 「俺はお前とは全然違う。俺のは新年初普通」


吉川 「えー」


藤村 「普通という事態をイベントとして成り立たせる逆転の発想。新年初逆転」


吉川 「なんかずるいなぁ。新年初ズルい」


藤村 「あっ! 取られた! 畜生、もう俺のズルいは新年二度目か……」


吉川 「そういう制度なんだ。言ったもん勝ち?」


藤村 「新年初 10時2分!」


吉川 「別にそんなのいらない。新年初いらない」


藤村 「うわぁ! そっちの方がいいじゃん! 新年初10時2分の方がいらねーよ! いらないけど、新年初いらないを取られた手前捨てるに捨てれない!」


吉川 「新年初悔しい?」


藤村 「わぁ! ダブルだよ! 新年初ダブルだよ!」


吉川 「別に俺は新年初コレクターじゃないから、悔しくない」


藤村 「出た! 新年初大人の対応!」


吉川 「お前はいつまでたっても新年初子供のままだな」


藤村 「なんか、圧倒的に上に立たれたような気がする」


吉川 「そんなことないよ。新年初頑張りたまえ」


藤村 「あー! 新年初頑張りとられた……去年からずっと狙ってたのに」


吉川 「別にいらない」


藤村 「お前が頑張らないから、俺が言う機会がなかったんだ!」


吉川 「そんな理不尽な怒られ方されても困る。新年初困る」


藤村 「困るまで! おまえ、興味ないなら使うなよ!」


吉川 「なんで、そんなに独占したがるんだ」


藤村 「……」


吉川 「……え?」


藤村 「言わないの? 新年初独占言わないの? いいの?」


吉川 「いいよ別に。そんなのいらない」


藤村 「お前、いいやつだな。新年初いいやつ」


吉川 「今まで悪い奴だったみたいだな」


藤村 「これからも、新年初力を合わせて、新年初頑張っていこうよ!」


吉川 「それ言った」


藤村 「あ~!」



暗転



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