お題でつくる2

良子 「吉っ……! 吉川くん……?」


吉川 「……」


良子 「ぁあああああ!」


吉川 「……」


良子 「ごめんなさい! 殺すつもりじゃ……殺すつもりじゃなかったのにぃ!」


吉川 「……」


良子 「ちょっと、毒まんじゅうを食べてもらおうと思っただけなのに!」


吉川 「……おい」


良子 「ひっ!?」


吉川 「明らかに殺意があるじゃないか」


良子 「ひぃぃ! オバケ! 毛が三本!」


吉川 「オバケじゃないし、毛ももっとある」


良子 「四本!」


吉川 「なんで、一本ずつしか増えないんだ」


良子 「成仏して!」


吉川 「オバケじゃないって」


良子 「お馬鹿?」


吉川 「お馬鹿はお前だ! 失敬な」


良子 「だって、吉川くんが……相手してくれないんだもん!」


吉川 「だからって毒を盛るな。明らかに常軌を逸してる」


良子 「良子さみしんぼちゃんだったんだから」


吉川 「……ごめん」


良子 「あと、美味しんぼだった」


吉川 「へぇ。そう」


良子 「この毒まんじゅうは食べられたもんじゃない。来週のこの時間また来てください。その時に本当の毒まんじゅうをご用意しますよ」


吉川 「偽物じゃなくても食べられたもんじゃないよ」


良子 「吉川くんは冷たい。人の血が通ってない、このマリオネット!」


吉川 「俺は誰に操られてると言うんだ」


良子 「スーパーマリオネット! ハンマーブロスにやられちゃえ」


吉川 「痛い! 馬鹿! なんでハンマーで本格的に殴るんだ」


良子 「真理子って誰よ! 馬鹿! 死んじゃえ」


吉川 「いや、誰? 俺も知らないよ」


良子 「真理子と寝たって言ったじゃない!」


吉川 「マリオネットって……自分で言ったんじゃないか。なんで理不尽に殴られてるんだ」


良子 「えいっ!」


吉川 「ぐっ……」


良子 「吉っ……! 吉川くん……?」


吉川 「……」


良子 「ぁあああああ!」


吉川 「……」


良子 「ごめんなさい! 殺すつもりじゃ……殺すつもりじゃなかったのにぃ!」


吉川 「……」


良子 「ちょっと、ハンマーで渾身の力をこめて殴っただけなのにッ!!」


吉川 「……おい」


良子 「ひっ!?」


吉川 「またもや、明らかに殺意があるじゃないか」


良子 「ひぃぃ! オバケ! 毛が五本!」


吉川 「五本じゃない!」


良子 「5,5本!」


吉川 「小数はなんだ? オバケじゃないって」


良子 「なんだ。お馬鹿か」


吉川 「しつこいッ!」


良子 「違うの。ちょっと力をこめて殴ったら、地球のみんながオラに力を貸してくれて……」


吉川 「殴る時点でおかしいと気づかんのか?」


良子 「でも、死んだり生き返ったり、まるでイリュージョンね」


吉川 「一度も死んではいない」


良子 「ゼンジー北京並のイリュージョニスト」


吉川 「ものすごくたかが知れたイリュージョニストだなぁ……」


良子 「でも、生き返れたんだから結果オーライだよね」


吉川 「どの辺にオーライがあるのか、詳しく問い詰めたい気持ちで一杯だ」


良子 「小さいことは気にしないの。お馬鹿の吉川くん」


吉川 「お馬鹿じゃない! オバケでもない!」


良子 「死んだら治ったのかぁ……」



暗転



この話はお題に基づいてつくりました。


お題

『毒まんじゅう』

『地球』

『ゼンジー北京』

『マリオネット』

『吉川と良子そしてサスペンス……』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る