ポルターガイスト

吉川 「え?」


ポル 「ポルターガイストです」


吉川 「……え!?」


ポル 「いや、だからポルターガイストです」


吉川 「え~と……え? なに言ってるの?」


ポル 「何って……聞かれたから答えただけで」


吉川 「だって、人だよね?」


ポル 「まぁ、人っぽいってよく言われますけど」


吉川 「っぽいじゃなくてさ。あきらかに人じゃん? おっさんじゃん?」


ポル 「失礼な。まだ38です」


吉川 「いや、おっさんじゃん」


ポル 「そう? 自分ではまだ若いつもりなんだけど。ほら、ネクタイも黄色だし」


吉川 「そういう問題じゃなくてさ、ポルターガイストって人じゃないでしょ? 普通」


ポル 「あ~、結構そう思ってる人多いみたいですね」


吉川 「違うの?」


ポル 「まぁ、人じゃないのもいるし、狸っぽいのもいます」


吉川 「それ、化かされてるだけじゃん。そうじゃなくてさ、なんか霊現象でしょ?」


ポル 「そんな非科学的な……」


吉川 「いやいや、ポルターガイストって普通そうじゃん」


ポル 「見たんですか?」


吉川 「いや、見たことないけど、普通見えないじゃん?」


ポル 「そんなの迷信ですよ。実は私がベッドとかガタガタやってる」


吉川 「えー! おっさんじゃん」


ポル 「まだ38です!」


吉川 「ほら、よく言うじゃん? 思春期の女の子がいる家によく起こるとか」


ポル 「それは……やっぱり可愛いじゃないですか?」


吉川 「ロリコンじゃん!」


ポル 「まだ38です!」


吉川 「いや、38を言い張る意味がよくわからない」


ポル 「射程圏内です」


吉川 「そんなの聞いてない。ロリコンはロリコンだ」


ポル 「愛があります!」


吉川 「そんなの知ったこっちゃないよ。っていうか、なんでうちにいるの?」


ポル 「なんでって……家具をガタガタさせに来ただけなんで気にしないで下さい」


吉川 「気にするよ! バカか。気にならないわけないだろ」


ポル 「なるべく傷とかつかないようにガタガタしますから」


吉川 「なんでガタガタさせるんだよ。やめてよ」


ポル 「やめてといわれましても……私もこれで食ってますから」


吉川 「仕事なの? そういうものなの?」


ポル 「仕事って言うか……まぁ、生きがいみたいなもんで」


吉川 「生きがいで人に迷惑かけないでよ」


ポル 「迷惑なんて、そんな大層なもんじゃないですよ。ただガタガタするだけですから、気にせずにTVでも見ててください。ちょっと画面ゆれますけど」


吉川 「気になるよ。なんでTVゆするんだ!」


ポル 「あ、一緒にやります? 結構いい運動になるんですよ」


吉川 「やらないよ! 帰ってくれ」


ポル 「そんなこと言われたって、こっちだって遊びじゃないんだから」


吉川 「お前、いい加減にしないと人呼ぶぞ?」


ポル 「お! いいですねー。みんなでガタガタやりますか?」


吉川 「やらないよ! なんで突然ガタガタ祭りを開催しないといけないんだ」


ポル 「いいじゃないですか、ちょっとくらい」


吉川 「いいわけないだろ。よくよく考えてみろ、すごい迷惑だ」


ポル 「なんだよ……。人が下手に出てればいい気になりやがって、そんなに言うならこっちだって本気出すぞ」


吉川 「なんで突然キレてるんだ。どっちが悪いか冷静に考えて下さいよ」


ポル 「うるさい! もう、むかついたから窓とか割ってやる! あとTVのチャンネルとか丁度いいところで変えてやるからな!」


吉川 「や、やめてください。ごめんなさい、謝りますから」


ポル 「うるせー! ガタガタ言うな!」



暗転



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