あたたかいマン
吉川 「寒いなぁ」
暖マン 「あたたかいマン! 只今参上!」
吉川 「わぁ。突然おかしな人が現れた」
暖マン 「俺は噂のヒーローあたたかいマン! 冷え切った世の中を暖めるためにやってきた」
吉川 「地味なヒーローだなぁ」
暖マン 「地球の温暖化による突然変異にて生まれた」
吉川 「暖かくなるとよく出現するタイプの方か」
暖マン 「あたたかいマ~ン基礎体温!」
吉川 「技か? それが技なのか?」
暖マン 「見ろ。37.2℃だ。微熱!」
吉川 「このご時世、色々なところで入店拒否されるやつだ」
暖マン 「君は心に暖かさが足りない!」
吉川 「大きなお世話だ」
暖マン 「ほら。私の胸であたためてあげよう」
吉川 「やだよ! 気持ち悪い」
暖マン 「君は、北風と太陽と言う寓話を知らないか?」
吉川 「あぁ、北風と太陽が言い争いをして」
暖マン 「そう。旅人のコートを脱がしたら素っ裸の変態だったと言うおぞましい話だ」
吉川 「絶対そんな話じゃない」
暖マン 「その素っ裸の旅人が、なにを隠そうこの私だ」
吉川 「変態じゃないか」
暖マン 「見たところ君は寒そうにしてるので、私が生暖かくしてあげよう」
吉川 「生暖かくは嫌だ。生がいやだ」
暖マン 「ハ~ってしてあげる。ハァ~って」
吉川 「やだよ。他人にやられて嬉しいものじゃない」
暖マン 「62はぁ」
吉川 「なんだそれは。へぇのつもりか」
暖マン 「しかたがない。これは奥の手だったのだが……あたたかいマ~ン摩擦!」
吉川 「うわっ! なんだ。やめてよ。こすらないでよ」
暖マン 「だんだん暖かくなってきただろう」
吉川 「暖かくなる以前に、くすぐったいし気持ち悪い」
暖マン 「ふぅ~。見ろ、汗びっしょりだ」
吉川 「お前がじゃないか。俺は気持ち悪かっただけだ」
暖マン 「どこまでも心の冷め切ったやつめ。ならば、最後の手段。心温まる話をくらえ!」
吉川 「くらえって」
暖マン 「あるところに、貧しくとも心の清らかな青年がいました」
吉川 「ありがちな」
暖マン 「その青年の名はあたたかいマンと言いまして……」
吉川 「自分か。あつかましい」
暖マン 「母さ~ん! やっと会えたね母さん!」
吉川 「いきなりクライマックスだ」
暖マン 「しかし、それは母さんに見せかけた父さんでした」
吉川 「ひっかかるなよ。そもそもなんで見せかけてるんだ」
暖マン 「めでたしめでたし」
吉川 「え? 終わったの!? どういう話だったのかまるでわからないまま」
暖マン 「泣けるー」
吉川 「いや、泣けないよ。母さんどうしたんだよ? ほったらかしじゃないか」
暖マン 「母さんはパート2で改造されてでてくる」
吉川 「いやな話だなぁ」
暖マン 「あたたまったでしょ?」
吉川 「あたたまらないよ! どうやって暖まれというんだ」
暖マン 「ここまでやっても温まらないような冷血人間は死ね!」
吉川 「うわぁ。突然逆上した!」
暖マン 「あたたかいマンビームをくらえ!」
吉川 「ぎゃー!」
暖マン 「なんちゃって。そんなビーム出ません」
吉川 「クソっ! 冷静に考えればわかることだったのに、空気に惑わされた」
暖マン 「安心しただろ。作戦どおりだ」
吉川 「なんだと?」
暖マン 「
吉川 「……寒」
暗転
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