風邪

吉川 「ゴホッ、ゴホッ」


藤村 「風邪?」


吉川 「いや、かの天才画家ゴッホのモノマネ」


藤村 「なんだ、その不自然なモノマネは」


吉川 「ノド痛い……」


藤村 「風邪じゃん」


吉川 「いや、ノドイタイのモノマネ」


藤村 「誰だよ、ノドイタイって。なに人だ?」


吉川 「意外といい人」


藤村 「知らない! そんなノドイタイさんのパーソナルデータなんて知りたくも無い」


吉川 「熱が……」


藤村 「それは完全に風邪だ」


吉川 「アーノルド・シュワルツ熱が……」


藤村 「似てない! というか似てる似てない以前の大問題だよ」


吉川 「どうも身体がだるい」


藤村 「それは誰のモノマネ?」


吉川 「そんな面白い名前の人いるか。体調が悪い」


藤村 「やっぱり風邪なんじゃん」


吉川 「ばれた?」


藤村 「ばれるよ。なんでかたくなに隠し通してるんだ」


吉川 「突然倒れてびっくりさせてあげようと思ってさ」


藤村 「そんなサプライズいやだ」


吉川 「ビールスが俺の身体を蝕んでる」


藤村 「ビールス……」


吉川 「どうしよう? 死ぬかも」


藤村 「しっかりしろ。病は気からっていうだろ?」


吉川 「そうだな。とりあえず、熱を計ろう」


藤村 「そうしろ」


吉川 「あー。なんか体温計さすと急に体調がよくなった気がする」


藤村 「体温計にそういう効果は無い」


吉川 「さっきやまいワキからって言ってたし」


藤村 「そんな病気はワキガだけだ」


吉川 「俺は、ワキガで死ぬのか」


藤村 「いや、死なないし。風邪だろ?」


吉川 「そうだった。風邪だったんだ」


藤村 「ちゃんと、暖かくして」


吉川 「うぅ……人のやさしさが身にしみるなぁ。遺産は上げないけど」


藤村 「別に遺産目的で言ってるわけじゃない!」


吉川 「うわぁ…熱が、38キロバトルだ」


藤村 「なんだその単位は。℃じゃないの?」


吉川 「これじゃオンエアされない」


藤村 「オンエアとか言ってる場合じゃない。薬を飲め」


吉川 「俺……クスリはやめたんだ」


藤村 「やめるとかの問題じゃない」


吉川 「これ以上、ボロボロになりたくないんだよ!」


藤村 「どんなクスリだと思ってんだ」


吉川 「これ、どこの売人から?」


藤村 「売人からは買ってない。薬局で買った」


吉川 「どうせやばいクスリなんだ」


藤村 「非ピリン系だ」


吉川 「フィリピン系なら上物だな」


藤村 「黙って寝てろ」



暗転

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