流行語
吉川 「惜しかったなぁ~」
藤村 「どうしたの?」
吉川 「今年も逃したよ。流行語大賞」
藤村 「狙ってたんだ! 一庶民なのに!」
吉川 「多分もうちょっとで取れたと思う」
藤村 「うそぉ! 知らないところで、そんな健闘してたんだ」
吉川 「相当流行ったからね」
藤村 「なんて言葉流行らせたの?」
吉川 「眠い」
藤村 「……え?」
吉川 「眠い」
藤村 「それが……流行語?」
吉川 「みんな使ってたよ! 日本中でブレイク」
藤村 「いや、そりゃ使うけど! ブレイクとかじゃないじゃん」
吉川 「俺が使い始めてからじわじわと来たね」
藤村 「いやいや、昔からあったじゃん! 日常語だもん」
吉川 「実は、俺が考えた」
藤村 「嘘つけ! お前が生まれる前から全然ある」
吉川 「たまたま、俺がウトウトした時に言ったのがはじまり」
藤村 「あくまで言い張るつもりだ」
吉川 「むしろ流行りすぎたのが敗因かも」
藤村 「そういう言葉は無理だと思うよ」
吉川 「だって、今年の流行語なんて、あんなのだぜ?」
藤村 「まぁ、ああいうのはおじいちゃん審査員とかが決めるものだから」
吉川 「流行ったか? 誰か使ってるところ見たことあるか?」
藤村 「いや、あんまり使わないけどさぁ」
吉川 「俺の眠いなんてみんな使ってる!」
藤村 「ついに俺のって言い始めた」
吉川 「誰しも一度は使ってるよ。眠い時とか」
藤村 「そりゃ使うよ。眠い時に眠いって言うよ」
吉川 「まぁ、来年を目指すよ」
藤村 「来年も流行らすんだ」
吉川 「今度のは来るぜー!」
藤村 「はぁ。どんなの?」
吉川 「暑い」
藤村 「いや、来るけどさ! そういうのって違うじゃん」
吉川 「もうそろそろ流行り始めてる」
藤村 「それはただ単に暑いからだ」
吉川 「俺が最初に言い始めた」
藤村 「嘘つけ」
吉川 「俺なんか、春のうちから言ってたもん」
藤村 「そういう問題じゃない。ただの気が早い人だ」
吉川 「あんな、誰も使わないような流行語なんかよりも全然使われる自信ある」
藤村 「よっぽど今回の審査が不服だったみたいだな」
吉川 「だって、誰もつかってないじゃん! どこが流行ったんだよ!」
藤村 「そういうもんなんだよ」
吉川 「ただ流行語大賞をとるには時期も重要になる。一年を総括する流行語と言ってもほぼ一年前に流行ったとなるともう忘れがちだから」
藤村 「なるほど」
吉川 「発表が12月なので10月くらいに流行りまくってると印象が良い」
藤村 「じゃ、暑いは無理じゃない? 使わなくなってきてるじゃん」
吉川 「確かにそうだ。じゃ『暑いっちゃ暑いけど、寒いっちゃ寒い』を流行らそう」
藤村 「虚無!」
暗転
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