職人探訪
吉川 「シリーズ、日本の職人探訪。本日は江戸時代から八代続く老舗のウィンドウズ職人のお宅に来ております」
職人 「よろしく」
吉川 「さて、ウィンドウズ職人と言うのは日本では、もうかなり少ないとお聞きしましたが……」
職人 「そうだねぇ。若い者は伝統とか関係ないと思ってるから」
吉川 「悲しい話ですね」
職人 「最近は安い舶来モノばっかりになっちゃってね。でも、この肌触りがいいと言ってくれる人もいるんですよ」
吉川 「こちらは、一本一本手作りで?」
職人 「そうだね。機械にやらせると、どうしても人の温かみがでない。使うのは結局人間だからね」
吉川 「なるほど、こだわってらっしゃるわけですね」
職人 「ほれ、これを見てみ」
吉川 「これは、大きなタコだ」
職人 「ウィンドウズダコ。まぁ、私たち職人の間では窓タコなんて呼ばれてるがね、これができて一人前」
吉川 「そうですかぁ……さぞかし大変な修行があるのでしょうね」
職人 「私が見習いの頃なんて、親方から一日五百回再起動しろ! なんて言われてましたよ」
吉川 「五百回! それはすごい」
職人 「まぁ、今の若い人は、そういうやり方とかついていけないだろうねぇ」
吉川 「辞めたくなったことは?」
職人 「はは……何度もありますよ。いっそ窓から飛び降りてやろうかと」
吉川 「それでも、続けてらっしゃる」
職人 「私たちが辞めたら、日本のウィンドウズの火が消えちゃうからね。半分意地ですよ」
吉川 「そういう大変な思いがあってこその、このウィンドウズなわけですね」
職人 「まぁ、自分が仕上げたウィンドウズは子供みたいなもんだからね」
吉川 「こちらが、手作りのウィンドウズですか。ははぁ……なんというか、光沢が違いますね」
職人 「だろ? わかるやつにはわかるんだよ」
吉川 「これ、ひょっとして家紋ですか?」
職人 「お! よくわかったねぇ。そうそう家紋を手彫りで入れてるんだよ」
吉川 「へぇ……それはこだわってますねー」
職人 「この家紋はね、ゲイツ家の」
吉川 「以上、シリーズ日本の職人探訪でした。また来週」
暗転
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